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MISS ◆/.Cqqep.oI コスモ達との戦闘の後、ジョナサンはキラ達に気取られずに、F-91の補給をするため、B4の 補給ポイントに入っていた。地図にキラ達C6の補給ポイントとは別の近い補給ポイント載っていた のは幸いだったが、ここにきて、いくつか問題が発生していた。 (補給さえ済ませておけば、疑うまいと思ったが・・・) 「とんだ失態だな」 一つはF-91の問題。 グランチャーやJアークのように反抗することなく動く操作性、そして攻撃力・運動性には 満足している。しかし、バイタルジャンプのような瞬間移動や戦艦のような大推進力のない F-91の巡行速度は速いといえない。これまでのエリア移動に消費した時間は決して少なく なかった。 既に戦闘終了から1時間弱、キラ達と別れてから2時間は経過しており、さらにここからC5を 通過してC6まで戻らなければならないのだ。 もう一つは、長距離通信が行えない問題。 今まで危険を避けるために目視可能領域に入ってから通信していた。そのため、今まで気が付 かなかったが、時間稼ぎに通信を開いたことでようやく事態が発覚したのだ。 目視範囲で通信できたことから察するに、通信可能域は半径10km程度といったところだろう。 「はじめは故障かと思ったが、どうやら違うらしい」 (ミノフスキー粒子といったか?そいつかもしれんな) マニュアルにそんな記述があったことを思い起す。 周辺の偵察にしては長すぎる時間、そして通信不能なこの状態。ソロバンあたりは気にせん だろうが、キラはこちらの探索を始めさせかねん。動かれれば速度の違いから、合流するの が難しくなる。 「ちっ!さすがにまずいか」 (Jアークの火力・巡行能力は惜しい) 「動くなよ」 そう言いうと補給を続けた。 【ジョナサン・グレーン 搭乗機体:ガンダムF-91( 機動戦士ガンダムF-91) パイロット状態:良好。 機体状態:少々、傷が付いています。EN・弾薬を30%消費(補給ポイントにて補給中) 現在位置:B-4 第一行動方針:補給をする 第二行動方針:キラと合流 第三行動方針:クインシィの捜索 第四行動方針:キラが同行に値する人間か、品定めする 最終行動方針:クインシィをオルファンに帰還させる(死亡した場合は自身の生還を最優先)】 備考:バサラが生きていることに気付いていません。 【初日21 25】 BACK NEXT 嵐の前 投下順 ゲスト集いて宴は始まる 失われた刻を求めて 時系列順 大いなる誤解 BACK NEXT 歌えなくなったカナリア ジョナサン 我が道を走る人々
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アンチボディー ―半機半生の機体― ◆Nr7qwL8XuU 水面を二つの赤いしみがゆっくりと移動していく。その像は徐々に大きくしっかりとした輪郭を伴ってゆき、間もなくその像の主は水中から姿をあらわした。 姿をあらわしたのはブレンパワードとグランチャーと呼ばれる二機のアンチボディー。半機半生の機体である。 その二機のうち赤い機体は陸にあがると周囲を一度グルッと見わたした。 視界いっぱいに映ったのは砂の海。目測で前方30~40kmはこの光景が続いている。 砂浜というには広すぎる。砂漠とか砂丘とかいう類のものだろう。 視界をさえぎるものがないためか見通しはよく、立ち並ぶビル群を遠目に確認することができた。自分達以外に機影もない。 時刻を確認する。時計の針は午後4時を指していた。 水中の移動は思ったよりも時間をくったなと思ったジョシュアは 「アイビス、ここから先は身を隠す場所がない。なるべくはやくに市街地まで突っ切る」 と声をかける。了解と返してきたアイビスの声を確認するとジョシュアは先にたって進み始めた。 ジョシュアとアイビスが市街地に入ったのは市街地を確認した20分後のことであった。 周辺に敵機がいないことを確認した二人は市街地の入り口付近、A-1・A-2・B-1・B-2という四つの地区の境目、A-1側の一角に陣取った。 姿を隠しつつ南から市街地を目指してくる機体を発見しやすいというのと禁止エリアに指定された場合他のエリアに動きやすいというがその場所を選んだ主な理由である。 『傭兵か・・・さすがに手慣れているな』とへんに感心しつつ、先に降りて休憩しているはずのジョシュアに習い休むことにアイビスは決めた。 機体を降りるとジョシュアが「お疲れ」と声をかけてきた。続けてブレンにも「お疲れ」と声をかけ二三度軽く撫でていく。 「お疲れ。・・・何してるの?」 「こうしてやるとブレンもグランも喜ぶんだ。アイビスにも喜んでるブレンの声が聞こえるだろ?」 「う、うん」 『ブレンの声?何を言っているんだ』と思うも返事を返す。 ブレンを見上げてみた。そこにはいつもと変わらない小型の巨人がただずんでいるだけであって声はおろかそこに感情が潜んでいるなどとはアイビスには到底思えなかった。 「先に休んでる」 とジョシュアに一声かけるとアイビスはその場を後にした。 「わが名はギム・ギンガナム。そこのパイロット、名乗りを上げい!」 我に返ったギンガナムの武骨な声があたりに響き渡った。分離し一部を置き去りに飛び去った相手にもはや興味はなく、新たな相手を前にギンガナムは胸を弾ませた。 その名乗りで我にかえった統夜はゲッターの変形機構から思考を目の前の相手に向ける。 先ほどの戦闘から分かるのは小型機らしい俊敏な機動性と(自機とは比にならない重さを有しているであろう)50m級の機体をも投げ飛ばし殴り飛ばす怪力。 装甲の厚さは不明だが武器というものは当たらなければ須く意味がない。ヴァイサーガの装甲がそうそう破られるとも思えなかったが、攻撃を当てれるかというとどうだろう・・・。 そう簡単に攻撃を受けてくれる相手とも思えない。 とにもかくにも極力戦いたくない相手には違いなかった。 そこまで思考をまとめた統夜は策を決め腹をすえた。そして羞恥心を押し殺し柄にもなく大声を張り上げ名乗りをあげる。 「紫雲統夜!参る!!」 名乗りと同時に刀を抜き打ち、地面を滑るような衝撃波を繰り出す。 そしてそれはギンガナムの手前100mというところで周囲のビルを薙ぎ払い、大量の瓦礫を舞い上げる。ギンガナムの周囲に粉塵が立ち込めた。 「見事な先手!小生の視覚を潰しおったか・・・!!」 周囲を見渡せない状況がかえってギンガナムのテンションをあげる。 レーダーの利かないこの世界において視覚を潰されるということは索敵能力を潰されるに等しい。しかし、逆に取るとこの状況下では相手もこちらの正確な位置は捕らえられない。 ゆえに遠距離攻撃は考えられず、この粉塵にまぎれて近距離戦を仕掛けてくるはずであるとギンガナムは読む。 その予想される相手の攻撃にカウンターを合わせるべくギンガナムは相手の一撃を待った。 やがて視界が晴れたころ、ギンガナムは遥か彼方に遠ざかっていく巨体を見つける。 このとき統夜の取っていた策は実は逃げの一手であった。 眉間にしわがより、鬼の形相を呈したギンガナムは 「小生を謀りおったな・・・だが!!逃がしはせぬぞおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」 その声にドップラー効果がかかるほどの勢いで統夜を追いかけ始めた。 ほぼ同時刻、戦場から離脱し北に向かって遠ざかりつつある二機のコマンドマシンがあった。 「ガロード、引き返すぞ」 後方に遠ざかっていく戦場の様子を注意深く観察していたクインシィはガロードに通信を入れる。 「へっ?さっきは離脱するって・・・な、なんでまた・・・」 「戦場が動いた。この隙にベアー号かお前の機体を回収したい。コマンドマシンでは心もとないだろ?」 言うが早いか大きく弧を描いて真イーグル号を反転させたクインシィに大慌てでガロードも続く。 なるほどさき程離脱した戦場から離れていくヴァイサーガの巨体がどうにか見て取れる。 小型機のほうはここからではさすがに見えないがお姉さんのほうからは見えているのだろうか?そんな疑問が浮かび口を開く。 「お、お姉さん!」 「どうした?」 「さっきの小さいほうの機体は?」 「なんだ。そのことか・・・」 予想よりも冷静な言葉が返ってきて取り越し苦労かと胸をなでおろした。 きっと、策か何かあるのだろうと思い続きを待つ、そこに 「姿は確認できないが、あれほど好戦的な奴だ。大きいほうを追いかけていったに決まっている」 と的を射ているような射てないような返事がガロードに返ってきた。 ガロードが先行きに感じる言いようのない不安などお構いなしに二機のコマンドマシンは僚機を回収すべく駆け続けていった。 「ふははははっ!待てええええぇぇぇぇぇいいいいぃぃぃぃぃぃぃ!!」 通信から楽しそうな大音量の声が流れてきて思わず統夜は顔をしかめた。 えらい変態さんに目をつけられてしまったもんだと暗たんとした思いが胸をよぎり、絶っ対に逃げ切ってやるという思いを強くする。 しかし、不幸にもヴァイサーガの巨体はビルの密集するここの地形に適しておらず、逃走開始時にかなり広げたはずの距離はずいぶんと縮められていた。 そのことを確認すると焦りが生じてきた統夜は周囲を見渡す。 そして、目ざとくも左前方に他の参加者を発見する。口元に笑みがこぼれる。 一度後方との距離を確認して距離的にもちょうどいいと踏んだ統夜は全速で機体を走らせた。哀れな贄の元へと・・・。 休憩を終えたアイビスは再びブレンを見上げていた。 そうする気になったのはバルマー戦役時に活躍したある兵士が超機人とかいう生きた機体に乗っていたという話を休憩中に思い出したからではない。 その手の話は兵士が自分で箔をつけようと流したものかあるいは驚異的な働きをした兵士に神がかり的なものを感じた敵味方に流れるものとして別段珍しくはなかった。 だからそういった尾ひれのついた話に流されたわけではない。 ブレンの声が聞こえるというジョシュアの言に何かひっかかるものを感じたからこそこうして再び見上げてみる気になったのだった。 しかし、依然としてその表情からは何も読み取れなかった。ジョシュアがしてたように撫でてもみたが結果は同じだった。 しばらくの思案の後、への字にしていた口元を緩ませると 『バカバカしい・・・気にするのは止めよう。どうせ私には・・・関係ない・・・』 とアイビスは結論付けた。そこには自嘲の色が見え隠れする。 そのとき、アイビスは地響きのようなものを耳にする。体に緊張が走り周囲を見渡す。 砂漠に敵影は見えない。ビルの隙間からも見えない。 気のせいかと思ったが今度は先ほどよりも大きな地響きを耳にする。同時に大地が震える。 瞬間、転がり込むようにブレンに乗り込む。少し遅れてジョシュアもグランチャーに乗り込むのが見えた。 ―――間違いない。巨大な何かが接近してくる。 その予感はまもなく確信にかわった。ビルの谷間から50mはあろうかという巨体が姿を現しこちらに迫ってくるのを見つけたからだ。 「アイビス!」 同時に確認したらしいジョジュアから通信が入る。 「な、何っ」 「万が一戦闘になったら離脱しろ」 反論を口に出そうとした瞬間、ジョシュアが言葉を続ける。 「ブレンには武装がない!危険すぎる」 「い、言われなくてもわかってる・・・・・・ジョシュアはどうするのさ?」 「大丈夫だ。危ない橋を渡るつもりはない・・・適当に時間を稼いだら離脱する・・・」 そして程よく接近中の機体から通信が入る。 「応答を。こちら紫雲統夜。そこの二機答えてください」 その機体の大きさに若干距離感を崩されながらも、通信に答えようとするアイビスを制してジョシュアは通信に答えた。 「通信聞こえている。こちらに交戦の意思はない。こちらから一定の距離で静止してくれないか」 「無理です!ゲームにのった凶悪な奴に追われています。助けてください・・・」 何か違和感を覚えたジョシュアは追われていることだけでは追っ手がゲームに乗っているものとは判断できないと、そう反論を口にしようとして突如入った通信に遮られた。 「わが名はギム・ギンガナム。そこの二機のパイロット、名乗りを上げい!」 その唐突な小型機の名乗りにジョシュアとアイビスは面くらった 「名乗りをあげろ・・・?」 「何・・・・・・あいつ・・・」 奇妙な雰囲気が場を占め、巨大な機体の接近以来張り詰めていた空気が弛緩する。 その隙に紫雲統夜と名乗った男はこちらに機体を近づけてくる。 ぞくり―― その行動に背筋の凍りつくような感覚を感じたジョシュアは我知らず一歩退く。その鼻先を音もなく巨大な切先が通過していった。 同時に目の前に傷一つない綺麗なボディーが横切っていった。襲われたにもかかわらず損傷のまったくない機体・・・先ほどの違和感の正体はこれかと気づく。 結果としてすれ違いざまの抜き打ちをかわしたことになったジョシュアはヴァイサーガを追って機体を反転させ振り返る。 そこで目に飛び込んできたのは、自機よりも数倍の大きさを誇る機体に叩き潰されビルに沈み込むブレンと、そのまま止まらずに離脱していくヴァイサーガの後姿であった。 「アイビス!ブレン!!」 とっさに駆け寄ろうとしたその時 「むぅ・・・実に見事な名乗り!アイビス・ブレンよ・・・いざ参る!!」 「待てくれ!こちらに戦う気は」 「問答無用!!」 相手の言を完全に無視して、盛大な勘違いをしたギンガナムがジョシュアに襲い掛かった。 四機の機体が入り乱れる様を遥か上空から目撃した神隼人その場で機体を一回だけ旋回させ、今しがた起こった出来事をフライトレコードの映像に収めていた。 その四機のうち一機は既に離脱し、一機は沈黙、そして残る二機は戦闘を繰り広げている。 しかし、既にその上空に隼人はいなかった。YF-19のモニターに拡大表示されているのは三機のコマンドマシン。 同系機とおぼしき外観を持つ三機のうち二機が残る一機に接近していっている。 三機という機数、赤・白・黄色という配色の二つがゲッターを隼人に思い起こさせていた。 ただしその形状は隼人のよく見慣れたものよりもより洗練されたシャープな線を描いている。 ゆえに隼人はそれをゲッターと断定することはできなかったが、確かめずにいることも当然できない。万が一ということも十分にありうる・・・。 どちらにしろコクピットを覗けばその答えは出るはずだ。ゲッターならば合体変形機構が必ず盛り込まれているはずである。機体の動力を見極める手もある。 それを見落とさないだけの自信が隼人にはあった。 眼下で襲われている参加者と地に横たわるベアー号らしき機体を隼人は天秤にかける。 「・・・悪く思うなよ」 ゲッターの巨大な力を知る彼は眼下の光景を後回しに機体を加速させていった。 「お姉さん、あれ!」 先に気づいたのはガロードだった。右前方に一つの機影。その向かう先にあるのはベアー号、あきらかに目的は一致している。 「確認した・・・」 通信を返しクインシィは思案を練る。ここで相手に先を越されるわけにはいかない。もし戦闘になった場合、二機のコマンドマシンでは心もとなかった。 マジンガーの存在もあったがあれはだいぶ東。ここからだとベアー号よりも遠方であった。 やはりベアー号を押さえて合体するしかない。 もう一度相手を確認する。タイミング的にギリギリと踏んだクインシィは「急ぐぞ」とガロードに声をかけようしたところに先にガロードから通信が入る。 「お姉さん、話し合いしなよ。ちゃんと忘れてない?」 「うるさい!覚えてる!!」 実際は忘れていた。 「とにかく今は急ぐぞ!」 というや否や機体を加速させた。その後姿を見ながらガロードは逃げ出したい思いに駆られたその瞬間 「逃げるんじゃないぞ!一段落したらそれと言いたいことは山ほどあるんだ・・・」 釘を刺された。そのぞんざいな物言いの中に優しさもみた気がしたが先延ばしになってる折檻の光景が頭に思い浮かんだ。 「うへぇ・・・でも、お姉さん、本当に話し合」 「くどい!」 首をすくませたガロードはおとなしくクインシィに続いて行った。 周囲に轟音が鳴り響き、ビルの残骸と共にグランチャーは砂漠に投げ出された。 「くそっ!なんて力だ!!」 すばやく体勢を立て直しながらジョシュアは一人愚痴る。 気絶したアイビスを乗せるブレンから相手を放そうと応戦しながら誘導し、最後のビルを迂回して砂漠に出ようとしたとき、動きを読まれギンガナムの拳を浴びた。 とっさにガードしたものの背後のビルを巻き込んで砂漠まで殴り飛ばされたのがここまでの経過だった。 思惑通りブレンからは引き離した。ひとまずここまでは上出来とグランを励ます。 小競り合いによって破壊されたビルの影にシャイニングの両目が浮かび上がり、次の瞬間 「ぬるい!まったくもってぬるいぞ!!貴様ああぁぁぁぁぁ!!!!!」 気迫と同時にブレンに肉薄するとその右拳が振り下ろされた。 それをジョシュアはグランチャーに必要最低限のバックステップでかわさせると攻撃直後の隙を狙って間髪要れずに踏み込む。 ソードエクステンションの斬撃が唸りをあげてシャイニングに差し迫る。 「甘いわ!!!」 ギンガナムは返す右手で捌き、相手の体勢を崩すと左拳をまっすぐに突き出した。 次の瞬間、拳は空を切り、背後から衝撃がギンガナムを襲う。振り返ったギンガナムの視界は間近に迫った光線に埋め尽くされる。 それはシャイニングの胸部装甲を擦過して後方の砂漠に着弾。大量の砂を巻き上げた。 瞬時に反撃に出ようとしたギンガナムだが、牽制の弾幕を撒き一定の距離まで後退したグランチャーを確認してひとまずは追撃をあきらめる。 こちらの動きを読みきった熟練を思わせるパイロットの腕―― 一瞬にしてこちらの死角に回り込んでみせた黒歴史にも載ってない未知の移動法―― 確実に直撃させたはずの二撃目を皮一枚でかわした反応速度―― 小型機に似つかわしくないにも程がある攻撃力と機械とは思えないほど柔軟な追従性―― ―――なまじの敵ではない――― 距離を置いて対峙した二人のパイロットが互いに抱いた感想であった。 「ふ・・・ふははははは・・・・・・面白い。実に面白い」 前言を撤回したギンガナムは肉体が歓喜の声を上げ、武人の血が沸き立つのを感じた。 そして、それに答えるかのようにシャイニングガンダムはフェイスガードをオープンさせスーパーモードを発動させる。 その様子を眼前にジョシュアは簡単にはいかないことを覚悟せざる得なかった。 あともう少しでベアー号を回収できるというところでクインシィとガロードは神隼人と接触した。相手は眼前を悠々と旋回している。 「お姉さん、どうしたのさ?はやく通信しないと・・・あっ、しにくいのなら俺が・・・」 キッ!と通信機越しに睨みつけられてガロードは沈黙した。 が、いつまでもこうしててもしかたないと思い通信機に手を伸ばしたその瞬間 「こちらは神隼人。交戦の意思はない」 相手から先に通信が入ってきた。モニターのむこうでガロードが安心するのが見える。 「こちらはクインシィ・イッサーとガロード・ラン。こちらも交戦するつもりはない。できれば情報の交換を望む」 「了解した」 あっけないほどすんなりと交渉は成立し三機は情報交換を開始した。 そして、情報交換開始から十分弱のあいだに主催者や他の参加者・互いの世界観などについてなど知っていることについて情報が交換されていくが互いにたいした成果はなかった。 ネリー・ブレンについての情報も交換されたがやはり成果はなかった。 成果のない一因は隼人がゲッターについて黙っていたせいかもしれない。まだ二人を見極めてない隼人にとって、ゲッターの情報は一枚のカードとして伏せておく必要があった。 そしてそれはクインシィ側にとっても同じである。二人は万が一に備えマジンガーの情報を隠していた。 自分達の機体は最初から二機のコマンドマシン。そう思わせておいたほうが現状では二人にとって都合がいいのだ。 互いに札を伏せていようとも成果がなくとも貪欲に情報は交換されていく。 そして、話題はヴァイサーガとシャイニングガンダム・ギンガナムに及ぶ。その二機の特徴を聞いた隼人は先ほど上空から撮った映像データを二機に送信した。 「ついさっき撮ったものだが・・・この二機で間違いないか?」 「そうそう。この二機・・・」 ガロードが映像を確認して答えを返す。 その傍らでクインシィは無言で映像をみつめていた。 (これは私のグランチャーではないか・・・) その赤いボディーを見間違えるはずもなく、自分のグランチャーだと気づく。そして、そのグランチャーが桃色のブレンパワードを守るように行動している。 (何故だ!何故・・・・・・) 「隼人、場所はどこだ?」 「南西方向、A-1・A-2・B-1・B-2の四つのブロックの境目あたりだ」 クインシィの目が据わり、次の瞬間真イーグル号は急発進で飛び去っていった。 「ちょっと待ってよ、お姉さん!」 とガロードがそれに続く。 残された隼人はその様子を不審に思いつつもあとを追おうとして近場に横たわるベアー号らしき機体が気になり足を止めた。 このままYF-19で二機を追うにしろ、ベアー号らしきこいつに乗り換えて追うにしろ、ひとまずこいつをどうにかする必要があった。 なぜならば隼人の知るかぎり敵にまわせばゲッターほど厄介な機体はないのだから…。 豪腕がうなりをあげて迫ってくる。それをソードエクステンションの腹で受け止めたグランチャーの両腕は上方へはじかれ、体が宙に浮き上がった。 やばいと思った瞬間、閃光を発したシャイニングの右手が襲い掛かってくる。 それをバイタルジャンプでかわして後方に回り込むも俊敏に反応し振り向きざまに繰り出された裏拳に阻まれて牽制の射撃をおこないながらあえなく距離をとる。 が、次の瞬間ギンガナムの視界を埋めたのは距離を置いたはずのグランチャーの姿だった。ソードエクステンションが袈裟懸けに振るいおろされる。 それを一歩踏み込んでグランチャーの腕を掴んで止め、そして投げ飛ばした。 一拍置いて決定打をかわされたギンガナムはまたかと自らの拳を眺める。かわされたのはこれで何回目だろうか?まったくといっていいほど決定打が当たらない――― 唇の端がつりあがり、だからこそ面白いとギンガナムは結論付ける。だからこそ倒しがいがあるのだと・・・。 この短時間の間にバイタルジャンプに順応し始めているギンガナムを感じ、汗がジョシュアの頬を伝って落ちていった。 瞬間移動といっても過言でない移動法を誇るこの機体相手に、こうも攻撃を捌ききることができるものなのだろうか? ジョシュアが不慣れなのではない。瞬間移動を高速に置き換えると兵器としてのグランチャーの特性は高速近接戦闘を得意とするエール・シュヴァリアーのそれに最も近い。 ソードエクステンションとサイファーソードのコンセプトも通じるものがある。 いっそ逃げようかと考えて気絶したアイビスを思い出し、敵を退けるしかないかと思い直す。 「何故、ブレンを守る。ブレンはオルファンの敵だぞ!お前はオルファンの抗体に選ばれたものではないのか!?」 出し抜けに女の声がコクピットに響き渡った。ぎょっとして周囲を見渡すと通信可能距離ギリギリという遠方に二機の戦闘機(のようなもの)の姿が確認できる。 通信を返そうとしたその瞬間、いつの間にか接近していたシャイニングの拳が肩をかすめていった。まるで気を抜いてもらっては困るとでも言うように・・・。 そして再び二機の攻防は始まる。 心なしグランの動きが鈍ったように思えた。まるで混乱でもしているかのように・・・。 依然として通信を介し女の声はコクピットに響き渡っている。が、ジョシュアはそれに答えず。一瞬後には通信が入っているという事実すら忘れ去る。余裕がないのだ。 他のことに気を取られている暇などない。ほんのわずかな時間でも気を抜けばこの相手は自分を屠り殺してみせるだろう。 気の抜けない戦いにジョシュアの意識は呑まれていった。 「ふははははは・・・もっとだ!もっと小生を楽しませてくれぃ!!」 通信から流れてくる野太い声にアイビスは起こされた。最悪な目覚め方だとふやけた頭で考えると周囲の景色が飛び込んできて我に返った。 あの時、紫雲統夜の奇襲を不意をつかれつもどうにか受け止めたブレンはそのまま相手のパワーに押し切られビルに埋没した。 その際、あまりの振動にコクピット内部に体を激しくうちつけたアイビスは気を失っていたのだった。 「小生の積年の鬱屈、見事晴らしてみせよ!」 通信の声とほぼ同時に轟音が響き渡り、わずかに遅れて舞い上げられた砂がパラパラと降り注いでくる。 ・・・誰かが・・・・・・まだ戦ってる? 一体、誰が? 不意にジョシュアのことが思い浮かび周囲を見渡した。グランチャーの姿は見当たらない。 戦っているのはジョシュアらしいと思い至ったとき、助けに行かなきゃという思いよりも暗澹とした思いがアイビスの胸を満たす。 ジョシュアがこの付近から離れたのが私を巻き込まないためなら、今なお逃げずに戦っているのも私を守るために他ならない。 全ては自分のせいだ。自分が足をひっぱったためにジョシュアは・・・。 『負け犬が!』聞き覚えのある声が耳をうつ。 そう、私は負け犬だ・・・ならどうする?負け犬は負け犬らしく尻尾を巻いてまた逃げだすのか・・・。 ・・・・・・違う。私は負け犬なんかじゃない。 ほんのわずかばかりの気概が沸いたが心の中を埋めるには程遠かった。 力なく鈍く光る瞳でそれでもブレンを起こしたアイビスはせめて盾にでもなろうと、半ば自棄にも似た気持ちでブレンの足を戦場へと向けた。 光り輝く腕が安々とチャクラシールドを突破してくる。 ギム・ギンガナムが操るシャイニングガンダムの渾身の一撃がグランチャーを捕らえたと思ったその刹那、右手は虚しく空を掴む。 バイタルジャンプによって再び距離を置いて二機は対峙する。 傍目には一進一退の攻防を続けているようでいて、その実ジョシュアのほうが遥かに分が悪かった。 互いに互いを捉えられない以上、一撃の重さは重要なファクターだった。そしてそれが圧倒的に違っていた。しかも、グランの調子も落ちてきている。 ならば次の攻防に勝負を賭けるしかないとジョシュアは思い定めた。 (いけるか?グラン・・・) (・・・・・・・・・) (・・・・・・よし!) 決意を固めるや否やジョシュアとグランは突撃する。そして、ソードエクステンションから光線が放たれ、膨大な砂塵がギンガナムの周辺を満たした。 そして、そのまま砂塵に突込み真っ向からギンガナムを斬りつける。 「甘いわ!!」 防がれた。が、もとより相手の動きを止めるための斬撃。牽制の意味合いが強く、直撃を期待してはいない。 その瞬間、ギンガナムの反撃を待たずしてグランチャーの姿が掻き消え、四方八方から光線がギンガナムを襲った。 バイタルジャンプを駆使して全方位あらゆる方角からの射撃、時折それにまぎれて位置を確認するように繰り出される斬撃。 砂塵に視界を奪われた状態でかわそうと思ってもかわしきれるものではなくシャイニングは負傷していく。 しかし、かわしきれないと悟ったギンガナムはその瞬間から射撃を無視し繰り出される斬撃を待った。 そして、グランチャーが周囲に姿を現したその刹那殴り飛ばすとその方角に向かって最大戦速で突貫していった。 砂塵を裂いて吹き飛ばされたグランチャーは体勢を立て直して砂漠に着地した。 そして、前方にソードエクステンションを突きつけギンガナムが追ってくるときを待つ。 ここで朽ち果てるわけにはいかない理由がジョシュアにはあった。 その思いを確認するように胸に手を当てて見る。いつしか自分の中に落ち着いてしまったもの――自分の中のラキが熱を帯びてくる気がした。 その熱がジョシュアとラキ、二人分のオーガニックエナジーをグランチャーに与え、つきつけた銃口はそれまでにない光をたたえていた。 砂塵の中に突撃してくるシャイニングの影が映る。 この一撃に全てを賭けてジョシュアは最後の引き金を引き絞った。 シャイニングガンダムを貫くはずだった光が霧散する。 そして、それは意外にも二人の脳裏から忘れ去られた一人の少女がもたらした。 ジョシュアが引き金を引き絞ったあの瞬間、グランチャーに通信を続けわめき続けていた少女の声色が不意に変わった。 「そうか・・・お前は・・・お前は違うのだな。オルファンの抗体となるべきものではないのだな!何故だ!グランチャー、何故こんな奴を乗せている。お前は私の子だろ!!」 グランチャーに激しい動揺が走り――― 「なっ、動かない!」 ―――本来の主を目の前にしてジョシュアを拒絶する。 「シャアアアアアァァァァァァァァイニングッッッッッッッッッ!!!!!!!」 焦るジョシュアの心情とは裏腹に無情にもコックピットから映し出されている外の情景、その中の一つ光り輝く手のひらが見る間に大きくなっていく。 「フィンガアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・!!!!!!!!」 やがてそれが視界いっぱいに広がりジョシュアはグランチャーの頭部がこの手に捕まったということを悟る。そして、同時に急速に迫ってくる死を身近に感じた。 シャイニングガンダムの光り輝く右腕のエネルギーが収縮しグランチャーの頭部を破壊する。その過程の最後の数瞬、 瞼の裏に映ったのはラキの笑顔――― 胸の内を占めたのはラキへの想い――― 負けられないっ――― 「動け!動いてくれグラン!!」 ジョシュアはあがいた。相手の声も、通信から流れる少女の声も耳には届かず一人コックピットでなおもあがき続ける。 そして次の瞬間、グランチャーは自らを掴んでいる右腕の肘から先を斬りおとした。 吊り上げられていた状態から自由になったグランチャーはその場に崩れ落ちる。 本体から切り離されたシャイニングの右腕はそれでもしぶとくグランチャーの頭部をつかみ続けていたが今のグランチャーにそれを振りほどく余力はなかった。 しかし、ヒットエンド直前までエネルギーを溜め込んだ腕は帯電している。 再び動いてはくれなくなったグランチャーの中、ジョシュアは自分でも驚くほど冷静な目でその腕を観察していた。逃げられないという判断を頭が下す。 心はあきらめるなと叫び体はあがき続けていたが頭野中はとても冷めたく静かだった。 それならばと思い。残された時間、ジョシュアはラキの中にある自分の想いが彼女の行く道を助けてくれること願った。 「ラキ・・・」 言葉にしようとしてそれも許さず、行き場をなくしたエネルギーが膨張して爆散し、同時にジョシュアの意識は途絶えた。 唐突にH-2地区に爆音が響き渡った。その地区の北東の端の一角に大破した赤い機体と薄桃色の機体がただずんでいる。 戦場に到達したアイビスが目にしたのは光り輝く右腕に吊り上げられ力なく垂れ下がるグランチャーの姿だった。 その瞬間、自棄にも似た気持ちは霧散し助けなきゃという気持ちがアイビスの全てを満たした。その思いが誰かの同じ思いと重なりブレンは跳躍する。 「グランチャー、その腕を切り落とせ!」 オープンチャンネルを介して知らない少女の声が聞こえてきたが気にもならなかった。が、次の瞬間シャイニングの右腕を切り落とすグランチャーが目に入った。 ほっとするのもつかの間、追撃をかけようとするシャイニングの目の前にブレンはジャンプアウトすると体当たりを仕掛ける。不意をつかれたシャイニングはあっけなく弾き飛ばされた。 そして、ただひたすら遠くへとだけ願ってグランチャーの腕を掴みブレンパワードは再び跳躍したのだった。 そして現在、大破したグランチャーを前に四肢に力なくへたり込んだアイビスは呆けていた。真っ白な頭は何も考えることができなければ、涙もわいてこなかった。 『ラキ・・・』 ただ最後に耳にした言葉、その言葉が脳内に残りただひたすらにその場から逃げ出したい思いに駆られているだけだった。 【ジョシュア・ラドクリフ 搭乗機体:クインシィ・グランチャー (ブレンパワード) パイロット状況:爆死 機体状況:大破(上半身が消失している)。右手のソードエクステンションは無事 現在位置:H-2北東部 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】 【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ヒメ・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:茫然自失 機体状況:ブレンバー等武装未所持。手ぶら。機体は表面に微細な傷。バイタルジャンプによってEN1/4減少 現在位置:H-2北東部 第一行動方針:その場から逃げ出したい 最終行動方針:……どうしよう 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】 【紫雲統夜 搭乗機体:ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A) パイロット状態:良好 機体状態:無傷 現在位置:H-1 第一行動方針:戦いやすい相手・地形を探す 第二行動方針:敵を殺す 最終行動方針:ゲームに優勝】 【クインシィ・イッサー 搭乗機体:真イーグル号(真(チェンジ)ゲッターロボ~地球最後の日) パイロット状態:興奮、困惑、やや疲労 機体状態:ダメージ蓄積、 現在位置:B-1市街地上空 第一行動方針:ギンガナムの撃破(自分のグランチャーを落された為逆恨みしています) 第二行動方針:ガロードを問い詰める。場合によってはお仕置き 第三行動方針:勇の撃破(ユウはネリーブレンに乗っていると思っている) 最終行動方針:勇を殺して自分の幸せを取り戻す】 【ガロード・ラン 搭乗機体:真ジャガー号(真(チェンジ)ゲッターロボ~地球最後の日) パイロット状態:全身鞭打ち・頭にたんこぶその他打ち身多数。 機体状態:ダメージ蓄積 現在位置:B-1市街地上空 第一行動方針:お姉さんを止める 第二行動方針:お姉さんに言い訳をする 最終行動方針:ティファの元に生還】 【ギム・ギンガナム 搭乗機体:シャイニングガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状態:気分高揚、絶好調である!(気力135) 機体状態:右腕肘から先消失、胸部装甲にヒビ、全身に軽度の損傷、ENほとんど空 現在位置:A-2北東部砂地 第一行動方針:倒すに値する武人を探す 最終行動方針:ゲームに優勝】 【神 隼人 搭乗機体:YF-19(マクロスプラス) パイロット状況:良好(但し、激しい運動は危険) 機体状況:良好 現在位置:B-1市街地上空 第一行動方針:真ベアー号の確認 第二行動方針:クインシィとガロードの援護 第三行動方針:高高度からの、地上偵察。 第四行動方針:二人以上の組との合流(相手が一人の場合、少なくとも自分から接触する気はない) 最終行動方針:主催者を殺す 備考:まだ完全にクインシィとガロードを信用しているわけではありません】 【残り47人】 【時刻:17 45】 BACK NEXT パンがなければお菓子をお食べ 投下順 いい人たち 血に飢えた獣達の晩餐 時系列順 ガンダムファイト BACK 登場キャラ NEXT ブレンとグラン ジョシュア ブレンとグラン アイビス オーガニックな機体とニュータイプの邂逅 混乱 ギンガナム マイペース二人 混乱 統夜 殺し合い 混乱 クインシィ 極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅 混乱 ガロード 極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅 人間様をなめるなよ 隼人 極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅
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戦いの矢 ◆ZqUTZ8BqI6 「ガロード、どっちに行くんだ。近道はこっちだぞ」 「え? アムロさん、C-8に行くなら、ここから南にまっすぐ……」 「それは違うんだ。この空間は、壁を抜けると反対側に出られるようになっているんだ」 進み始めたガロードの言葉に割り込んでストレーガの指が北をさす。 そこには、白系の色を中心に、虹色の光を放つどこまでも続く壁があった。 アムロの言葉を聞いて、F-91は、急旋回。慌ててストレーガのそばまで戻ってくる。 「悪い悪い、アムロさん。俺、そんなこと知らなくて」 「いや、それも無理はないさ。俺も、逃げる時、咄嗟に光の壁に突っ込んだから知ってるんだ」 そう言ったあと、小さくアムロは歯噛みする。 過去に捕らわれていても仕方がない、と頭では割り切れるほど年は積み重ねているが、 感情まで抑えきれるほど、アムロも老成し冷めた人間になれているわけでもなかった。 あのときの戦いで、もう少し早く、あの獅子のマシンを撃破できたなら。 いや、戦力も少ないのに、行動する仲間を分割しなければ。 ……シャアは、死なずにすんでいたのかもしれない。 「何を、考えているんだ俺は……」 ストレーガの中で、アムロは一人小さくつぶやいた。 シャア・アズナブル。いけすかない部分もあったし、そりが合うはずもない男だった。 だが、不思議と自分たちは出会い、時代に翻弄されていった。 結局、自分が何をつかんだのか? ――それすらもわからないままだ。 あの男は、何かを見つけ、つかんだのだろうか。 もし、シャアが何かにたどり着いたとして…… それがあの愚行、アクシズ落としへとつながったとしたら、アムロはやはりシャアの行動を否定する。 あの男は、焦りすぎたんだ。だから、現実も見えちゃいなかったし、すぐに物事に見切りをつけた。 アムロは、シャアの行動を否定した。 だが、あの男を考えるに当たって、忘れてはいけないことがある。 「この暖かさをもった人間が、か」 シャアも、人の心の温かさを知っていたし、そのことをはっきりと認めていた。 そして、それを知った上での選択だったということ。シャアは、人のエゴと優しさを知った上で決断したのだ。 自分との決着にこだわり、過去を引きずりながらも同時に人を知り未来のために決起した男。 自分に、その勇気があるのか? いや、勇気と言うには少し違うかもしれない。 どうしようもないくらいすべてを理解して、他人を背負っていく気概、魂が自分にあるのか。 「ガロード……すこしいいか?」 光の壁を抜けて、おもむろに問いかける。 「どうやら、そのガンダムは俺たちの技術の延長にあるようだが……いつごろ作られたかわかるか?」 「うーん、ちょっと触っただけじゃ操縦法はわかっても、そこまではわかんないみたいだ。 ……そうだ、ちょっと待ってよ。色々試してみるから、さ」 いったん地上に降りるF-91を見て、アムロもゆっくり降下していく。 幸い、ここは市街地だ。高層ビル群の陰に隠れていればそうそう見つかることはない。 「そうだな、一応目的地には着いた。なにかあると聞き逃すかもしれない。放送まで聞き逃さないように移動を切り上げよう。 ……ガロード、さっき言った、最初のニュータイプの話を……少し聞かせてくれないか」 「ああ、いいよ」 軽く返事を返し、手を動かしながらガロードは説明してくれた。 酷く、哀しい人間の業そのものが詰まったような物語を。 ただ、アムロはぼんやりとそれを聴き続けた。ただ、ひたすらに聞く。 何か、理解できる気がして。 「―――で、言ったんだ。 『ニュータイプは人の革新でもなければ戦争の道具でもない、ただの人間だ。それは幻想だ』って」 「そう……か……」 アムロは、それだけ言うのが限界だった。 だが、作業をするため画面に集中していたガロードは、アムロの顔色に気付かず、さらに言う。 「お、調べたら結果が出たよ。 えーっと、宇宙世紀123年、バイオ・コンピュータを利用したニュータイプ仕様……」 そこまで読み上げた後、ガロードも怒りに顔をゆがませる。 アムロは、なぜガロードが怒っているのかよく理解できた。 なんてことはない。これは、ニュータイプを戦争の道具として使うモビルスーツでしかないのだ。 ……それも、あの人の光を見せた時から30年もたった、自分たちの未来の、だ。 人は、力でメンタリティを容易に変容させる。 それこそ、急に力を手に入れた反動で、一夜にして別人同然になることもある。 逆に、己を脅かす力をもつ存在の登場によって、周囲の人々のほうが変わっていくこともある。 一人の人間が持つ力が、すべての人間の心の在り方すら捻じ曲げる。 まさに、ニュータイプがそうだった。 驚異的な力を持つと畏怖されたこともあった。逆に人間の革新ともてはやされ、尊敬されたこともあった。 お互い、人間であることに変わりはないのに。 ニュータイプは幻想である。 アムロは、そのガロードの意見を、素直に受け入れる。 だが、哀しかった。あまりにも悲しすぎた。 よく似た並行世界でも、ニュータイプは戦争の道具として扱われ、血を流す原因となった。 あの日から、30年たった自分の世界でも、何も変わっていない。 これが、『人の業』とでも言うのか。 シャアは……シャア・アズナブルはこの絶望を知っていたのだろうか。 人は、決してメビウスの輪から抜け出すことはできず、あらゆる世界、あらゆる時間で罪を重ねるのだろうか。 「……そろそろ、放送だな。そちらに集中しよう」 ガロードに言っているのか、自分に言い聞かせているのかもはっきりしない心地だった。 そう言って、ディバックから、地図とメモ、ボールペンを引っ張り出す。 時刻は、18時間が経過し、朝の6時だった戦いの開始も、今では夜更けとなっている。 最初の6時間では、10人だった。 仮に、このペースで死者が増えているとすれば、単純計算時間が倍になっている以上、死者は20人。 いや、参加者が減れば減るほど、殺し合いは減速する。それを考えれば、16,7人。 もっと少ないことを祈って、アムロは鳴り始めた音楽に耳を傾ける。 しかし、その内容はアムロの予測を上回るものだった。 「なんだって……二十……一人だと?」 あの部屋には、50人弱しかいなかった。 最初の放送で、10人が死亡。6時間経過時の残りは40人と少し。 その40と少しの人数の中で……この12時間で、21がさらに脱落した。 つまり、6時間経過時の生存者の半分が死亡したことに他ならない。 アムロは確信する。人が減っても、殺し合いは減速していない。 むしろ、減った状態でありながら時間の単純比以上の人間が落ちたことを考えると、その加速度は猛烈な勢いで増している。 呼ばれた名にはギム・ギンガナムの名もあった。 危険人物も当然返り討ちその他で減っているだろうが、 それでも、この場は殺し合いにのった人間のほうが現在優勢であることは疑いようがない。 こんな理不尽に殺し合えと言われて、それでも最後に一人になるまで殺しあってしまう人間。 この世界は、多くの世界から人が集まっている。多種多様な世界の知恵をもってしても、人は食い合うことをやめられない。 シャアの名は、覚悟していた。だから、受け止めることはできた。 しかし、放送から流れたそれ以外の情報は、どれも顔を強くゆがませるのに十分なものだった。 唯一の救いは、自分たちの合流相手、クインシィやジョナサン、そしてブンドルの名が呼ばれなかったことだ。 もう、一刻の余裕もない。 可能な限り迅速に、こちらの戦力を落とすことなく、反抗勢力を集めなければ、勝機は完全に失われる。 「ガロード……合流を急ぐぞ。うかうかしてる暇はなさそうだ」 「ああ、わかったよ。……おっさんの分まで頑張らなきゃな」 おっさん、というのは話に聞いた神隼人だろう。 だれもが、苦痛を乗り越え、消えた人々を背負って生きている……とアムロは知っている。 この世界はそれが顕著なのだ。言うならば、ここは世界を凝縮し縮めた箱庭―― 「そうか……そういうことか、これがあの化け物の目的なのか……」 アムロは、直感的に気付いた。この世界の、意味を。 ストレーガのアイ・カメラで周囲の住宅街やオフィス内を急いで探索する。 ……人のつかった痕跡が、いっさい見当たらない。 それが、アムロの予感に、さらに確信を与えてくれる。 最初から、アムロが感じていたことがある。 違和感、とも言ってもいい。この世界には……あまりにも人の思念が感じられない。 無限に広がるような感覚を与えながら、雑念というか、ごちゃごちゃしたものがなさすぎるのだ。 だから、離れた場所でもニュータイプでも何でもないギンガナムの気配を手に取るように感じることができた。 冷静に考えると、意識もせず集中もせず遠く離れたニュータイプでもない人間の思念を、つぶさに知ることができるのはある意味異常だ。 この世界に、人はいない。いなかったという過去系ではない。過去未来現在、あらゆる時間で自然には、ここに人はいない。 いるのは、連れてこられた自分たちだけだ。 不純物の混ざらない、なにもない人間の世界のジオラマに、生贄を用意することで『世界』を再現する。 自分たちをひねりつぶすだけならたやすくやってのけるような存在が、そんなことをやる目的は何か? 言うまでもない、実験だ。 不純物を取り出し計測に無駄な幅が出ないようにするのも、 小さい事象の投影から全体を予測、理解するのも、 まさに実験そのもの。 ここは、実験用のフラスコの中なのだ。 だが、ここでもひとつだけ疑問が残る。 では、彼らはそれを計測することで、何を知ろうというのか……? 「それこそ……人の業なのかもしれない」 あの化け物が、神だとは認めない。 しかし、神のごとき力を持っていることだけは間違いない。 さっきも言ったが、力で心は容易に変わる。 ならば。 あれほどの力を持つ存在が、人間と同質の精神を持っているだろうか。人間の心を理解できるだろうか。 ――絶対にNO。 理解できないからこそ、こんな世界を作り上げ、観察することで人間を理解し、判断しているのだろう。 そして、観察から何をしようとしているのか……? 「認められるものか……!」 アムロは、あの化け物を認めない。どんな結論を出したとしても、決して認めない。 シャアは、人間の中で生き、人間として悩み、人間として業を背負い、人間の業を知って立ち上がった。 だが、あの化け物は違う。人を超越した世界で生き、人の心を知らず、悩まず、神の如く力を振りかざす。 人は、弱く脆く、愚かなのかもしれない。それは、人を超越した種から見ても明らかかもしれない。 けれど、どれもまた、すべて人間が背負い、乗り越えるものだ。 人間でない存在に、指図されるほど落ちぶれちゃいない。人は、それでも乗り越えられるんだ……! 「――シャア。お前が見たものはこれだったんだな」 アムロは知った。 シャアが見たものは、人間の未来という希望だったのだ。 どうしようもなく居間に絶望していながら、人間という種そのものの未来は、だれよりも信じていた。 自分も、同じだ。 決して、人間を見放したしたりはない。もし、そんな存在がいるなら、全力で戦うまでだ。 「ガロード。すまないが、マシンを交換してくれないか」 「急に、黙りこくったと思ったら……どうしちゃったんだよ、アムロさん」 「F-91がニュータイプ用のマシンだと言うのなら、俺が乗ったほうがいい。そのほうが、戦力になる。 ……もうシャアのような過ちは繰り返させない。俺はただの人間だ。だから、決して人間を見放したりはしない」 シャアを失った時のような、力不足からくる過ち。 シャアが起こしたような、人の業と絶望からくる争い。 そのどちらも、もう沢山だ。 ニュータイプは万能ではない。これからも、ただの人間である自分は失敗し、悩むだろう。 それでも……それでもだ。 必ず、人はいつか乗り越えると信じ続けよう。 そして、あの化け物を討ってみせる。 マシンの交換に、ガロードは、少し渋る様子を見せたが、結局変わってくれた。 彼曰く、「人を戦争の道具にするような、ニュータイプをパーツにするようなMSには乗せられない」らしいが、 アムロも、珍しく我を通した。アムロは知りたかった。自分たちの技術の果て、ガンダムはどうなったのか。 せめて兵器は、変わっていけたのか。 シートに座りこんだとたん、頭に流れ込む操縦方法。 はっきりと感じる、サイコフレームやバイオセンサーに近い感知器の存在。 自分の認識できる世界が、一回りも二回りも広がったような感覚を覚えた。 ざらつきに似た、会場を覆う思念。覆いかぶさるような参加者たちの嘆きと慟哭といった激情の数々。 「! 来る……!」 とたん、目を向いて虚空へ視線を投げやるアムロ。その急な動きを見て、ガロードが慌てた様子を見せた。 「な、何が一体来るって言うんだよ!?」 「かなり、大きな悪意が1つ……弱いが、明らかな敵意がもう一つ」 時計を確認すれば、もう24時30分だ。 「不味い、早く合流しよう」 そこまで言った時だった。 天空に駆け上がるように、光の線が流星のように空を切り裂いたのは。 ― ― ― ― 「おお? ハハッ、こりゃおもしれぇ」 C-1エリアの端で、黒いガンダムが、光の壁に体を突っ込んだり出したりして遊んでいる。 「しっかし面白い仕掛けだな。いまさら驚かねぇが、こんな便利なもん最初に教えとけよ」 放送なりなんなりで教える機会もあったのに、教えないとはあの譲ちゃんも人が悪い。 もっとも人じゃあないのかも知れねぇが……それはさておいて。 知っていればいろいろ楽しめたかもしれなかったってのに。 結果的にはいい感じなわけだが、やっぱりペナルティは必要だろう。 いや、やっぱり人じゃないからこそ、人間様の礼儀ってもんを教えてやる必要があるか? まあ、どっちの道…… よし、殺そう。 あまりにもナチュラルに危険思想を振りまく、この男の名はガウルン。 本名かどうかも不明で、9つの偽名を持つことからそう呼ばれる傭兵だ。 息をするように人を殺せるガウルンという男は、上機嫌で獲物を探す。 さっき戦った相手でも、盛り上がることは盛り上がったが、すっきりさっぱりとは程遠い結末だった。 だから、この微妙で半端な高揚感を抑える相手を求めて放浪する。 もっとも、彼に本当に満足が訪れるとは思えないが。 もし仮にあったとしても、どれだけ殺せば腹が膨れるやら、わからない。 「半端はいけねぇよなあ、半端は……」 さっきは、なかなかダンスにはいいお相手だったが、積極性が足りないってもんだ。 体を汚すのを嫌がる娘みたいに、傷つくのを恐れすぎていた。 最後に、腕一本持ってかせる度胸があったとしてもまだまだ欲求不満だ。 「やっぱり、なかなかおいしいモノにはありつけない……ってとこか?」 彼からすれば、禁止エリアの発表以外に放送に意味はない。 せいぜい、時報のかわりくらいだ。時報……と考えて、ふと時間が気になった。 時間を、ちらりと見ると、時計は24時26分を指している。 ガウルンは、闇雲に動き回っているわけではない。 最初にこの会場に転送された時はともかくとして、それ以外は、ガウルンは人の集まりそうな場所を中心にめぐっているのだ。 最初の森を抜けて、まずガウルンは考えた。 そして、ガウルンの出した「どこに人が集まるか」というクエスチョンの答えは、ずばり「街」だった。 ビル街などは、当然食料などの物資も補充しやすく、姿を隠す場所も多い。 自分の常識などを考えれば、籠城する相手はそういった場所を選ぶ傾向が強い。 ぼんやり平地や森にいる連中は移動中に自然と見つけられる可能性もあるし、自分から出向いて探す必要もない。 だが、わざわざ探さないと獲物が見つからない点は、まわる必要がある。 それも、逃がさないように底さらいに、だ。 だから、森からわざわざ南下して地図下端の街にまず出向き、次に中央の廃墟に足を運んだのだ。 結果はもう知っての通り、そこに隠れていた連中を見つけては、ガウルンは楽しんでいる。 下の街から中央の街の廃墟、とくれば次の進む先はもう言わずもがな。当然上の街だ。 下から上に、潜んでいそうな場所を、プレゼントボックスでもあけるつもりですべて回る。 最後は、メインディッシュに南東の工場と考えていたところだったが…… もっとも、上から下へワープできることが判明した以上、これはあまり得策ではなかったようだ。 いつでもどこでも縦横無尽に逃げるというのなら、しらみつぶしにする必要はない。 よし、ここを回ったら工場へ向かおうと一人心に誓うガウルンだった。 少し話はそれたが、だからガウルンはA-1、B-1の街を目指した。 もっとも、厳密にはその東にある廃墟のほうが近いのだが、ガウルンに射撃の的になる趣味はない。 空を飛べないマスターガンダムが推進力を利用しながら水上を進むのは、 廃墟に潜んでいる人間から「どうぞ、殺してください」というのとまったく同義。 というわけで、ほぼ全速力で北上していたガウルンは、光の壁に出会った。 ちなみになぜ全速力かというとこれもさっきとまるきり同じ回答で、ガウルンに射撃の的になる趣味はないからだ。 大した遮蔽物もない平原で、遠距離攻撃を苦手とするマスターガンダムがゆっくり進んでいては、ただの的だ。 時速250kmは出るモビルファイターでも、優秀な射撃補正ソフトの前ではドン亀だ。 余談だが、ガウルンが極力遮蔽物の多い街や森などで戦おうとしているのは、 何かに隠れて近づかねば、相手が逃げてしまって楽しめないのに加えて、マスターガンダムが近接特化なのも大いにある。 とにかく、距離を詰めて自身も機体も得意とする近接戦闘に持ち込めば、負けないと思っているからだ。 ただ、単純に自堕落で享楽的に見えるが、その認識は間違っている。 ガウルンは自身の経験と、だれよりも狡猾で深い戦闘および戦術の判断で冷静に戦う、歴戦の戦士……いや修羅なのだ。 さて、光の壁をくぐって1番ラインの街に戻ろうと思った時だった。 天空に駆け上がるように、光の線が流星のように空を切り裂いたのは。 「次の祭りはあそこか」 ― ― ― ― 「―――っ!」 統夜は、地面を異常な速度で疾走する影を見つけ、ビルの陰に隠れる。 銀色のマシンだ。かなり大きい。ヴァイサーガと同じくらい……60mはある。 だが、その巨体の割に、線があまりにも細い。 スレンダーな騎士タイプのヴァイサーガを、さらに細く絞ったようなマシンで、腕にはドリルが付いている。 「やっと……また見つけた」 そう言ってコクピットで統夜では息を吐く。 見つけられたことを安堵しているのか、それとも見つからなかったことを安堵しているのか。 どちらともつかない微妙な溜息。 時刻は約一時間ほど前だったろうか。 統夜は、当初の目的通り、C-7にまで来ていた。……順調とは程遠かったが。 街中に入った途端、別方向――北のほう――から、前述のマシンが現れたのだ。 自分から不意打ちを仕掛け、相手に致命傷を与えてから戦おう、とは決めていても、 咄嗟にそれが実行できるほど統夜の心も技量も追い付いていない。 突然全力疾走でこちらに向かってくるマシンを見て、統夜は姿を隠したのだ。 正面から戦うことを避けるのもあったし、純粋に統夜が見せた一般人的な反応でもあった。 とにかく、細かい理屈はいい。 統夜は、とにかく向こうが全力疾走していたのやらビル街で視界が悪いのやらこの一帯のミノフスキー粒子が濃かったやら、 もろもろの条件で統夜は接触を避けることができた。 それでも、一歩間違えれば正面から戦うはめになっただろう。 統夜も胸をなでおろしながらも、ここにきてからを思い返して背筋が冷たくなった。 そう言えば、自分が切り伏せたあの天使のようなマシンも、まともに考えれば交戦域だったのに気付かなかった。 青い重装なマシンに関しても、ある程度を通り越してかなりそばでやっと気付いたものだった。 そして、今自分も向こうの接近を彩も駆使できる辺りまで気付かなかった。 ……どうも、ここはレーダーがあまり役に立たないらしい。 ある程度高性能なレーダー――戦艦や電子戦用――はともかく、普通の戦闘用のマシンのそういった機能は低下しているとしか思えない。 つまり、予想外からの一撃、その一瞬で終わる可能性だってある。……もちろん、命が。 「逆に考えるんだ、こっちだって奇襲しやすい。こっちに有利だと思うんだ」 これは人と出会って行こうと考えている人間ほど、不利に働く。 出会うチャンスを見失うことも多いのだから。 では、逆に一番この恩恵を受けるのはどんな人間だ? ――他でもない、自分のように極力見つからないように身を隠し、不意討ちを仕掛けようとするような人間だ。 とことん、この会場は人を殺す側に有利にできてるんだな、と乾いた笑みを浮かべるのが限界だった。 その成果、とでも言うべきか。 さっきの放送では、21人もの名前が呼ばれていた。 ゴールが縮まった実感はまるでない。それどころか、まるで今やっとスタートラインに立ったような気がする。 統夜は、コクピットの壁に小さく頭を打ち付けた。 「こんな時に、なに迷ってるんだよ……」 今更ながら……放送に、自分とテニアの名前が呼ばれなかったことにほっとした自分に嫌悪感を覚える。 自分は死んでないのだから、呼ばれるはずがないと頭では分かっていても、 挙された名前に自分と自分の知り合いが含まれていないことを感じて心底自分は安堵していたのだ。 あれほどさっき心に決めたはずなのに、放送一つでまた悩んでしまう自分の弱さが疎ましかった。 「どうせ、みんな死ぬんだ。いまさら悩んだって仕方ない」 そう自分を鼓舞する統夜。 ゆらりと、真っ赤な目を輝かせ幽鬼ごとくヴァイサーガが立ち上がる。 こっそりと、通信を合わせてタイミングを取ろうとして……やめた。 相手の会話を聞いたって、なんになるだろうか。 まして、相手は「一人」なのだ。仲間の機影も見えないのに、一機でぶつぶつ何かを言うことはないだろう。 とにかく、相手が一瞬でも隙が見せたら、そこに光刃閃を叩き込む。 それ以外、ない。 ビルの暗がりで、暗い決意を胸に少年が立ち上がる。 銀の背中を追いかけて。 ― ― ― ― 「遅い! ……ガロードはいったいこのエリアのどこで待っている!?」 今にも癇癪玉を破裂させそうなクインシィに、肩をすくめるジョナサン。 その動きがまた更に癇に障ったのか、クインシィは声を張り上げた。 「なにか文句があるか、ジョナサン=グレーン! 放送は聞いたろう、ガロードもガロードの仲間も生きている。 なら、必ずこの周辺にいるはずだ!」 「オーケイ、クインシィ。今回ばかりはあんたと同意だ。ガロードと合流することは、すべてに優先される」 やれやれと思う気持ちをぐっと押し隠して、ジョナサンは真・ゲッター2を走らせる。 確かに、放送を聞く限り、ガロードも、その仲間の「アムロ・レイ」も死んでいない。 だが、これは死んでいないだけでここに来られない可能性も、十分にあるはずだが…… ともかく生きている以上、ガロードはここに来ると信じているというわけか。 放送前には二人はC-8エリアに侵入していたわけだが、ガロード達はまだ来ていないのだろうと待っていた。 放送を聞いて20分。生きていることが分かり、さすがに遅いという話になったため、こうやって真・ゲッター2で探索しているのだ。 さすがに、人間に例えれば100mを4秒台で走りける真・ゲッター2。 それでも、1エリアが50km四方となれば、60m級の機械でも1,5km四方には相当するだろう。 こうやって駆け回って探し出して5分。地を走るゲッター2では効率が悪い。 「ジョナサン、私に変われ」 ――空から探すのか? 逆に、襲撃者がいれば格好の的だろうな。 そんな言葉が喉までせりあがったが、さらに飲み込む。 今断れば、分離してでも探しに行きかけない気配がクインシィからは発散されている。 まったく、病気が過ぎる。だが、どちらも危険となればまだ自分が同伴しているほうが安全は高まる。 「……そちらも分かった。 チェェェエエンジッ!」 「真・ゲッター1!」 音声入力とは言え、毎回こうやって叫ぶのかと喉を首輪の上から小さく触る。 瞬間、3機の戦闘機に分離して、ゲットマシンが空に舞い上がる。 それでも、一応不審なモノはいないかと地上のビル群をカメラで睥睨したとき――― ジョナサンの視界の端、闇に隠れて見にくいが、確かに濃紺の影がよぎる。 しかも、確実に、こっちに向かってきている――! 「クインシィ、敵だ! 的になる前に避けろ!」 とっさの判断。今ここで、重要なのは見えた影が敵か味方かにあらず。 自分が、無防備な姿をさらしていることこそなによりも気にすべきことだ。 だから、ひとまず敵と決め付けて、危機感をあおる。 「どちらからだ!? このままわたしに操縦をよこせ!」 「そのまえによけるんだよ! ぐううああっ!?」 真・イーグル号を強引に追い抜いたため、強烈なGが体を締め付ける。 それでも、真・ベアー号に誘導信号を送り、急に絵の前現れた真・ジャガー号のため、 ふらついたイーグル号にドッキングさせる。 間一髪、真・ゲッター2は光の刃が届くよりも早く変形を完了させる。 「何をする、ジョナサン。私に変われ!」 「その返事はNO以外ない!」 そのまま、敵も確認せず安定もとらず真・マッハスペシャルを使用。 本来は、完全に分かれて3つになるはずの分身は、時間不足により半端に重なり合った形で現れる。 だが、相手は減速の様子を見せず、全速で突っ込んでくる。 そのまま光の速度で駆けあがる一刀は、空高く打ち上げられ…… 次の瞬間、3重の真・ゲッター2のうち、右端の一機の頭から股下まで切り飛ばした。 しかし、それはフェイク。本物は、中央の真・ゲッター2だ。 青騎士の撃ち出した一撃は、真・ゲッター2の右胸を大きく切り裂いただけで、撃墜には至らない。 24時30分。人工の光もなく完全に漆黒に彩られていた世界、光の矢が大地から空を貫くように飛んだ。 無と負に彩られた黒い大地で、一人の少年の放った輝きが、人を呼び寄せることになるとは……少年は気付かなかった。 刀を振り切ったまま切り抜け、急慣性で動きを変えることもできず、さらに空へ舞い上がる青騎士。 一方、それを尻目に大地へと落下していく真・ゲッター2。 この隙に、ジョナサンは地面に着地すると一目散に、青騎士から離れるように駆けだした。 「なぜだ!? なぜ逃げるジョナサン!」 クインシィの声。操縦に意識を割いていたため、無意識に声を大きくしながらジョナサンは答える。 必死に、集中のすきまでひたすら自分に冷静になることを意識させる。 「今は、ガロードと合流することが優先だ」 「目の前に現れたモノを投げ出してか!? あれは私たちを傷つける!」 「……俺は、ガロード・ランを信じていない」 「何をこんな時に言っている!?」 息を大きく吸って、一息に言い放つ。 「俺を信じ、従えと言うつもりはない。 『クインシィ・イッサーが信じているガロード・ラン』を信じろと言っている。 あんたの信じた男は、約束を破っていると決めつけて裏切れるほどの男か?」 「うっ―――」 言葉に詰まるクインシィに、さらにジョナサンは追い打ち同然の言葉をかける。 「もう一度言う。俺は、ガロード・ランを信じていない。だが、クィーンであるあんたの判断は信用する。 だから、俺は『ガロード・ランを信じているクインシィ・イッサー』の、ガロード・ランを信用する」 ――恨みもするが、今回は感謝もするぜ、ガロード・ラン。 真・ゲッター2がビルをドリルで掘り進みながら、ヴァイサーガから距離を取ろうとする。 しかし、ヴァイサーガもスラスターを全開にした高速移動で空を駆け、追走してくる。 「やるんだ……、今ならできる」 通信から漏れる相手パイロットの焦った声。 いいぞ、と内心笑みを噛み殺した後に、すぐに表情を引き締める。 相手は、こちらが合流しようとしていることを知らない。 いや、気づいていたのかもしれないが、相手を逃がすかもしれないという焦りでそれを忘れている。 ならば、このまま危険を覚悟で振り切るために建造物を破壊しながら走れば、ガロードたちは物音に気付く。 そうなれば、2対1……いやガロードと合流した相手もいれば、3対1、4対1の状況を作れる。 クインシィに危険が及ばないように真・ゲッターをひかせ気味に戦っても、盾になる駒がいれば問題ない。 (問題は、本当にガロードが来るかどうかだが……) あれほどクインシィに大きく啖呵は切ったものの、本当はガロードのことをジョナサンは信じていない。 むしろ、キラのように来ない割合のほうが高いとも思っている。 時間を、ちらりと見る。 時刻 12:33分 ――30分だ。 同じエリア内にいるのであれば、どれだけビルのような障害物があっても、駆け付けられるはず。 30分たって合流できない場合、来なかったと思っていいだろう。 ガロードとこのまま30分合流できない。 かつ、30分こいつを振り切ることができないのであれば…… 「自分がバロンとしてやるしかないということか」 ジョナサンも、奇しくもアムロやブンドル……そして同時にテニアとほぼ同じ思考をたどっていた。 この場は、殺し合いに乗った連中のほうが、圧倒的に強い。そうでなければ、ここまで急激に減ることはないはずだ。 つまり、多少強いマシンでも、1機というのは危険すぎる。 だから、戦闘でき、かついざ自分が後ろから漏らさず撃ち殺すこともできるような…… 自分とクインシィを含み4,5名のグループを作る必要がある。 そのためには、結成の要因となるガロードの存在は必須だ。 彼女の病気が悪化する恐れもあるとしても、これは絶対。 クインシィが自分の制止を振り切り、単独で動き回る危険があるのは今さらな話だろう。 止めるのも難しい。 その行動に付きまとう危険は想像以上に高い。 はっきり言って、むき身の体でグランチャーやブレンパワードに戦うにも等しい。 それが、あの放送で知りえた情報だ。 クィーンたる女は、周囲の働き蜂のそばから離れてはいけない。仮に女王がそれを望んだとしても、だ。 だが、女王はだれの意にも従わず、自分の意思を通すだろう。 それが、女王なのだから。 (だからこそ、ガロードがいる。やつは勇と俺の身代わりになってもらう) ジョナサンは、考える。 ガロードはクインシィの抑制剤になりえる。 依存し始めた今ではその効果は中々といったところだが、これからさらに行動を共にすれば効果はぐんと上がるだろう。 女王を、自然と安全な方向に誘導する。 依存が加速することと、生死の危険を抑えること。 さっきまでは、前者の天秤のほうに傾いていると思ったが、実情逆だった以上迷いはない。 意地でも、ガロードにはクインシィを抑え、守ってもらう必要がある。 それが、ガロードに与える勇の身代わりとしての役目。 ジョナサンは、考える。 ガロードといれば、クインシィの暴走はひとまず抑えられる。 戦う力もある以上、クィーンのためのルークにもなりえる存在。 ならば、自分が何をすべきか。ジョナサンの目的は、女王をオルファンに帰還させること。 そのためには、クインシィを最後の一人にする必要がある。 反抗者を集って脱出する? あの化け物と戦う? その発想は、あまりにも甘ちゃんの発想だったと今のジョナサンは理解している。 放送を聞けば、一目瞭然。自然と、化け物と戦えるだけの力を持つ人間も倒れていくだろう。 ジョナサンの出した結論。 次の第3回放送ののち、グループを離れて参加者を狩る。 そして、最後に自分たちのいたグループ――ガロード含む――を殺す。 これから12時間で、クインシィの依存は完成するはずだ。 そうなれば、自分が目を切ることに問題はなくなる。 ジョナサンがいない間、クインシィを守る……それが、ガロードに与えるジョナサン=グレーンの身代わりとしての役目。 「女王のルークをやらせてやれる程には信用しよう、ガロード・ラン……!」 ジョナサンが、真・ゲッター2で駆ける。 ただ、ひたすら夜の街で他者信じて。 【紫雲統夜 登場機体 ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A) パイロット状態 微妙に焦り、マーダー化 機体状態 左腕使用不可、シールド破棄、頭部角の一部破損、若干のEN消費、烈火刃一発消費 現在位置 C-8端(C-7の市街地視認可) 第一行動方針 合流前に真・ゲッターを落とす。 最終行動方針 優勝と生還】 【クインシィ・イッサー 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ~世界最後の日) パイロット状態:疲労小 機体状態: ダメージ蓄積 、胸に裂傷(中)※再生中 現在位置:C-8 第一行動方針:ガロードとの合流 第二行動方針:勇の捜索と撃破 第三行動方針:ギンガナムの撃破(自分のグランチャーを落された為逆恨みしています) 第四行動方針:勇がここ(会場内)にいないのならガロードと協力して脱出を目指す 最終行動方針:勇を殺して自分の幸せを取り戻す】 【ジョナサン・グレーン 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ~世界最後の日) パイロット状態:良好 機体状態:ダメージ蓄積 、胸に裂傷(中)※再生中 現在位置:C-8 第一行動方針:ガロードとの合流 第二行動方針:強集団を形成し、クインシィと自分の身の安全の確保 第三行動方針:第3回放送後は、参加者を狩る。 最終行動方針:どのような手を使ってでもクインシィを守り、オルファンに帰還させる(死亡した場合は自身の生還を最優先) 備考:バサラが生きていることに気付いていません。 →戦いの矢(ver.IF)(2)
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Time Over ―私の中のあなたにさよならを― 65 既に大きく日が傾き始めた頃、東へ東へと進む二つの機体の姿があった。 湖面に映し出された蒼い姿は有機的な流線型を、青ベースに赤と黄を散りばめたもう一つはごつごつと物々しい姿を描いていた。 その内の蒼い機体の足が不意に止まりあたりを見回す。 北を向き、西を向き、南を向いて東に向き直る。周囲の風景に別段異変は見られなかった。 しかし、心がざわめくのをラキは感じ取っていた。既に彼女の一部となったジョシュアの心。それが熱を帯びたように熱かった。 「どうした?」 怪訝そうな声でエイジから通信が飛び、機体を寄せてきた。 「エイジ、ストレーガのハッチを開けてくれ」 返答を待たずしてブレンのコックピットから体を乗り出したラキが飛び出した。 それを慌ててフォルテギガスの腕が受け止める。いかに湖上とはいえ人が無事ですむ高さではなく、思わず冷や汗が背を伝うのをエイジは感じた。 「何をする気だ?」 ラキを落とさないように慎重にフォルテギガスの腕を操りながらエイジが質問を投げかけた。 「ジョシュアを探す。静かにしてくれ」 ストレーガのコックピットに滑り込んだラキが答えを返し意識を凝らす。 元々、彼女とジョシュアの精神はシュンパティアを介して混ざり合った。 その結果、彼女はおぼろげながらもジョシュアの存在を感じることができるようになったのだが、残念ながら大雑把すぎて位置をつかめずにいた。 それをフォルテギガスのシュンパティアを利用することでジョシュアの精神に同調しその居場所を掴む。 これがラキの考えであったが、彼女の言はいつも短く説明不足であった。 ゆえにエイジは不承不承ながらも黙ってみているしかなかった。 そして程なくラキはジョシュアの位置を掴むとコックピットから身を乗り出した。 「エイジ、ありがとう。世話になった・・・。ブレン、跳ぶぞ!」 エイジの返事を待たずしてブレンに乗り込んだラキはその場から消え去る。 何故だか分からないが急がないといけない。彼女はそんな気がしていた。 大地は分厚い氷で成り立ち、そこここに覆い茂る木もまた氷でできている。 そんな氷に覆われた冷たくも澄みきった世界でラキはたたずんでいた。 目に映るのは白と黒にその中間色からなるものだけ。美しく澄んではいてもどこか味気ない。 ヒヤリと透きとおった空気のなかで暖かな気配が風と共に頬を凪いでいった。 その気配にフラフラと釣られるように足を踏み出す。 樹氷の林の中に分け入り、時折足を止めてはわずかな温もりを確認しつつ進んでいく。 徐々に、しかし確実に気配は増し、不意に白と黒の世界から一変して緑の木々に覆われた世界が彼女の前に姿を現した。 そして、その中心で焚き木に火をくべている者を見つけ、彼女は我知らずに彼の名を呟いた。 「ジョシュア・・・」 振り返った若い男と目が合う。 衝動に駆られるままにラキはジョシュアの懐に飛び込み抱きついた。 硬直するジョシュア。しばしの混乱の後、赤くなったジョシュアに慌て引きはがされた。 「なっ!いきなり何をするんだ」 「親しい者同士が再会したときはこうすると聞いたぞ」 「誰からそんなことを」 「リアナだ。違うのか?」 思わず嵌められたという言葉がジョシュアの脳裏を横切り、頭を抱える。 私にはジョシュアがそうする理由がよくわからなかった。たしかにリアナからそう聞いたのだ。 少しのあいだ、本当に少しのあいだ、二人は他愛もないことを語り合った。 ここに来る前のことも来てからのことも話した。 アイビスという名前の女性が出てくる。何故かちょっとだけいらっとした。 どんな話をしてもジョシュアは真剣に聞いてくれる。それがうれしくてラキはついつい言葉を重ねていく。気づくとジョシュアは聞き役に徹してくれていた。 それから、ふと思い出したように若干のふくれた感じでラキは 「ジョシュア、一体今までどこへ行っていたのだ?私はお前を探していたのだぞ」 と問いかける。 「あ・・・・・・、すまない」 「だがここからは一緒だな」 その言葉にジョシュアの顔が曇り、次の瞬間ラキを抱きしめた。 「ジョシュア?」 驚いたラキは怪訝そうな声をあげる。 「・・・・・・すまない。もう一緒にいてあげられないんだ」 耳元で悲痛な声が響く。聞こえてはいたが言葉の意味がよくつかめなかった。 「ごめん。もう行かなきゃならない。ラキ、さようなら・・・・・・ありがとう」 いつの間にかそこにいるはずのジョシュアの姿は掻き消え、ラキの心象世界は急速に彩りとぬくもりを失っていく。 そしてそこには以前と変わらぬ氷の世界だけが取り残されていった。 ――ジョシュアの心は本体と同時にその活動を停止した―― 目の前の空間が突然ひらけ、夕闇に彩られ始めた空が視界に映し出される。 A-2北西の空間が歪み、いびつな音と共にネリー・ブレンがジャンプアウトしたのだ。 本日二度目の長距離バイタルジャンプ。 ブレンのエネルギー切れが原因なのか、あるいはジョシュアの感覚を見失ったことが原因か、はたまたその両方か―― ――もう、どうでもよかった。 バランスを崩したブレンが落下する。 空がゆっくりと遠ざかっていく。 自由落下にまかせるままに砂地に落ちたブレンは砂埃を舞い上げた。 それからしばらくラキはただ空を眺めていた。 (ブレン、ジョシュアが私を置いて何処かへ行ってしまった・・・・・・) (・・・・・・) なんなのだろう、この気持ちは。苦しいわけじゃない。痛いわけでもない。 ただひたすらに寂しい。ずっと一緒にあったものが、大事にしていたものがなくなってしまったように寂しい。 (・・・・・・) (?) (・・・・・・) (そうか・・・。これが悲しいということなのだな・・・・・・) これが・・・、これがかつて私が振りまいていた感情なのだな・・・・・・! こんな、こんな気持ちを!!私は・・・・・・。 腕に力がこもり、拳を握り締める。何故だか勝手に涙が溢れてきた。 それを止めようとも思わなかった。 ただひたすらに自分を許せなかった。ただひたすらにジョシュアに会いたかった。 どうしようもなくなった彼女は幼子のように声を震わせてただ泣き続けていった。 時刻は18 00を指し、最初の放送が静かに会場全体へと鳴り響いていった。 ジョシュア・ラドクリフ・・・・・ ラキの探していた人が死んだ。 ラキが跳んだ後、追いついてきたクルツと合流した。それは間違いだったのか? 目の前で平然とメシを食っているこいつを見ているとそう思えてきて、苛立ったエイジは機体へと足を向けた。 「どこへ行くんだ?」 のん気そうな声が後ろから飛ぶ。それにさらに苛立ってぞんざいに答える。 「ラキを追いかける」 「どっちへ行ったのかもわかんねぇのにどうやって?」 「・・・・・・それでもここでそうやってメシを食っているよりはマシだ」。 こういうときの正論ほど頭にくるものはなかった。 「おい」 「なんだ?」 「座れ」 「いやだ」 「いいから座れ。メシでも食って少しは冷静になれ」 もう返事も返さずに機体に向かってエイジは歩き始めた。 やれやれといった風情で立ち上がったクルツから声がかかり、振り向いたエイジに突然殴りかかる。 それを鮮やかにかわすとカウンター気味に放ったエイジのボディーブローが脇腹にささり、クルツは沈み込んだ。 「突然何を・・・・・・」 「『突然何を・・・・・・』じゃねぇ!ここは一発殴られた後に俺に諭されてお前が冷静になる。そういう場面だろうが!!」 無茶苦茶な理屈でクルツが怒り始めた。納得できないエイジも反発し口喧嘩に発展していく。 やがてふてくされたような顔でクルツが話題を変えた。 「予定とは違ったがまぁいい。いいかよく聞け。壁の向こうでラキは『行き過ぎた。引き返す』って言った。しかし、俺達が飛んできた直線上に探し人はいなかった」 たしかにあの時のラキはそう言っていた。 「ならそいつは北か南にいる・・・・・・いや、いたと考えるのが普通だろ?」 「そしてラキはその人を探しに跳んだ」 「その通りだ。そこで一つ質問だ。ブレンはどっちの方向を向いて跳んだ?」 「・・・・・・北」 「ならこっから北にラキはいる。北を向いて南に跳ぶような天邪鬼だったらあきらめろ。それともう一つ」 「もう一つ?」 「ラキがジョシュアを見つけて跳んでからいくらもたってない。にもかかわらずジョシュアという男の名前は放送で流れた。この意味分かるな?」 「ラキが争いに巻き込まれている可能性が高い」 うなずき、座り込んでいた腰をあげたクルツが機体に向けて歩き出す。 それに並んでエイジも歩き出した。 「そういうことだ。時間がない二手に分かれるぞ。捜索範囲はここからまっすぐに北北東と北北西。合流場所はB-1補給ポイントだ。場所は後で送信する」 「西は僕が行く」 「なら俺は東だな」 やがて二人は機体に乗り込み別れ際最後の会話をかわす。 「エイジ、さっきの一発殴り返すまで死ぬなよ」 「当たろうが避けようが一発は一発さ」 「この野郎」 二人の間に笑いがもれ、そして二機は急速に離れていった。 【アルバトロ・ナル・エイジ・アスカ 搭乗機体:フォルテギガス(スーパーロボット大戦D) パイロット状況:健康 機体状況:無事。ENを少し浪費。 現在位置:A-2南東部砂浜 第一行動方針:突然消えたラキを探す 最終行動方針:ゲームから脱出 備考:クルツを警戒している(やや緩和)】 【クルツ・ウェーバー 搭乗機体:ラーズアングリフ(スーパーロボット大戦A) パイロット状況:冷静、脇腹がちょっと痛い 機体状況:Fソリッドカノン二発消費、ファランクスミサイル1/3消費 現在位置:A-2南東部砂浜 第一行動方針:ラキの探索 第二行動方針:ゲームをぶち壊す 第三行動方針:駄目なら皆殺し 最終行動方針:ゲームから脱出】 「Time Over ―Don t break my heart―」 そうか・・・、ジョシュアは・・・・・・。 放送が終わった後、意外にもジョシュアの死をすんなりと受け入れている自分をラキは感じていた。 一通り泣き伏して気持ちがすっきりしたせいかもしれない。 それとも律儀にもお別れを言いに着てくれたからだろうか・・・・・・。 (ブレン、私はどうすればいい・・・・・・) ラキはジョシュアを生き返らせたかった。だけど悲しいという感情を知ったことが彼女を迷わせていた。 それに、それを―それにかかる代償をジョシュアは多分望まない気もしていた。 「うっ・・・。なんだ・・・これは?」 そんな彼女を突然懐かしい感覚が襲う。 「これは・・・・・・負の感情?」 もともと彼女にはメリオルエッセとして人の負の感情を吸収する能力が備わっていた。 しかし、それはシュンパティアの影響でジョシュアと彼女の心が混ざり合い、様々な感情に目覚めていく過程で損なわれていった特性だった。 彼女はそれらの変化をかつて自分は壊れたと表現していた。 そして、彼女の言葉を借りるなら今その特性は直ったというべきか。ジョシュアの心が休止し、彼女の体はメリオルエッセとして再び正しく活動を始めた。 放送によって会場の中に満ち溢れた怒りを、悲しみを、憎しみを、慄きを、あらゆる負の感情を綯交ぜにしたものを際限もなくその身に取り込み始めたのだ。 「うあっ・・・!くっ!!・・・・・・あ゛」 負の感情を取り込んだ彼女の体が依然と同様に喜びの声をあげる。取り込んだ負の感情が細胞に染み渡り、肉体は活性化していく。 しかし、皮肉にも彼女の精神は以前とは変わってきていた。 「嫌だ!こんなもの・・・うっ!ゲホッ・・・こんなもの・・・・・・私は欲しくない!!」 彼女の得た人間らしい考えが、道徳観が、体験した思いが、体があげる歓喜の声を嫌悪し、全てを吐き出したい衝動に駆られる。 コックピットに転がり、のたうち、目を見開き、髪を乱し、胃液を吐き、撒き散らしながらも取り込んだ感情をどうにか吐き出そうと悶え苦しむ。 しかし、彼女の意思に反して吐き出すことは叶わず、なおもその身は負の感情を取り込み続ける。 「うあっ・・・あっ!頼む!止めて・・・あ゛あ゛あぁぁぁぁぁあああああ」 悲痛な叫びが木霊する。相反する感情の板ばさみに彼女の精神は蝕まれていった。 【グラキエース 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:精神不安定 機体状況:バイタルジャンプによりEN1/2減少 現在位置:A-2北西部 第一行動方針:??? 最終行動方針:??? 備考1:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません 備考2:エイジとクルツの捜索範囲からわずかに西へずれたところにいます】 【初日 18 20】 BACK NEXT 赤と流星、白と勇者王 投下順 嵐の前 騎士の美学 時系列順 オーガニックな機体とニュータイプの邂逅 BACK NEXT ふりまわされる人、ふりまわす人 ラキ マイペース二人 ふりまわされる人、ふりまわす人 エイジ 極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅 ふりまわされる人、ふりまわす人 クルツ 極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅
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天駆ける少女 ◆YmyLBuF3ag 見晴らしのいい草原に少女は立っていた。 「また、人が死んだりする戦いなの……?」 先ほどの、女性の首が吹き飛んだ光景を思い出し、少女は首をぶるりとふるわせた。 少しの間呆然としていたようだったが、ようやく回りの様子に気を配る余裕ができてきたらしく、少女はつぶやく。 「何なんだろ、この世界。ものすごく不自然な気がする」 「草も、木もみんなまがい物みたい。生きてる、って気配がしない」 生体エナジーが希薄とでもいうのだろうか。知り合いの天才少年物理学者にでも聞けば何かわかったかもしれない。 「ねえ、君もそう思うでしょ?」 唐突に、宇都宮 比瑪は傍らに立つ身の丈3mは超えようかという… ロボットに声をかけた。 「って、喋れないか、君」 ちょっと照れたようにつぶやく比瑪。だが、案に反して答えは返ってきた。 「ラーサー」 やや間延びした、だが確かな返答。 「君、喋れるんだ!」 「ラーサー」 「すごいよ君! 突然こんなことになって、ちょっと不安だったけど。うん、一緒にがんばろう!」 「ラーサー」 何げに会話が成立しているのがすごい。 比瑪はなによりこのロボットと意思が通じ合えたことが嬉しかった。 (あの部屋には依衣子さんがいた、まずは探してみよう。 そう、誰とだって分かり合えるはず。あのオルファンとだって私たちは分かり合えたんだから!) 「私、宇津宮比瑪。君、お名前は?」 「ワタシハ ペガス ラーサー ヒメ」 「よろしくね、ペガス!」 【宇都宮比瑪 搭乗機体:ぺガス(宇宙の騎士テッカマンブレード) パイロット状況:良好 機体状況:良好 現在位置:C-3 第一行動方針:依衣子(クインシィ・イッサー)を探す 最終行動方針:主催者と話し合う】 【時刻:12 30】 BACK NEXT 純真なる抗体、真紅の悪鬼 投下順 月の戦神と黄金の指 純真なる抗体、真紅の悪鬼 時系列順 仮面の舞踏会 BACK 登場キャラ NEXT 比瑪 盤の上で駒は計略を巡らせて
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時の結実――すなわち成長 ◆ZqUTZ8BqI6 【15時22分】 「現状は……どうにかなった……ということか?」 迂回をくり返し、ようやく爆心地から少し離れた所にあるナデシコへとユーゼスは到達する。 乗り込むその機体は、酷く不完全で、規格の合わないパーツを継ぎ合わせたようなチグハグな外見だった。 それもそのはず。 本来規格の合わない、しかも腕などの上から噛み合わせるかたちで装着するデータウェポンを無理やり手足として機動させているのだ。 ユーゼスが確保したデータウェポンは合計4基。 右腕――ブルホーン。 左腕――ユニコーンドリル。 右足――レオサークル。 左足――ドラゴンフレア。 4基の装着されたデータウェポンを四肢として、一機のメディウスの安定剤にしている。 ラーゼフォンから強引に引きはがされたため、装甲はところどころ砕け、ひび割れてしまった。 支える基礎となる四肢なきまま不安定につけられたデータウェポンと、砕け内部の露出した現状では、もしも奴らに会えば敗北は必至。 それでも、ユーゼスが姿を隠しながらナデシコへと足を向けた理由は、一つ。 まさしく、奴ら――すなわちネゴシエーター一同――との関係が険悪だからだ。いや、最悪と言ってもいい。 もし会えば殺されるかもしれない最悪の相手が側にいる場所へ、最悪の相手がいるから向かう。 一見矛盾しているように見えるが、これにはけして矛盾していない。 ユーゼスは超合理主義だ。そして、理論は感情を超越すると思っている。 無論、理屈より感情を優先する相手もいるのは知っているが、今回の場合、相手の一団にはネゴシエーターがいるのだ。 故に、ユーゼスはこう判断した。 現実に沿う利益さえ示せば、感情面において最悪の自分でも生存しうる、と。 では、自分が現在示せる最大のメリットとはなにか。 簡単だ。自分がもっとも信頼でき、そして他者が及ばないと信じられるものは、この頭脳。 引いては、工学系の深い知識――つまり、首輪を解除しうる知識だ。 さらに、自分は殺し合いの中、さまざまなデータを確保し、検証してきた。 これは誰にも及び付かないことだと自負している。 しかし、それも現段階で、という話。これから奴らが首輪を解析すれば、自分のアドバンテージは減る。 自分ほどでないにしろ、首輪の構造程度なら解析するだけの頭をもった人間もいるかもしれない。 最悪、自分は用済みだ。 それを防ぐためには、相手が首輪を解析しうる施設、あるいはそれに準じるものを全て掌握、不可能なら抹消すればいい。 首輪を操作できるのは自分だけ。そうなればあの化け物への反抗を願う者たちはすべて自分にひれ伏すことになる。 そのために、ユーゼスは危険を冒してでもナデシコへ進んだのだ。 「……残念だが破壊するしかないか。だが、それでも役に立ってもらうぞ」 現在のナデシコは、推進部が破壊されている。 仮に破壊されていないとしても、この巨体が宙を飛ぶとなれば、否応なしでも目立つ。 ナデシコの速度では、目一杯飛ばしても足の速い機体には補足される。そうなれば、戦闘は避けられない。 修理や何らかの措置を施すことも考えたが、それをする時間もない。 今こうしている間にも、奴らは姿を見せるかもしれないのだ。 戦闘だけは現状避けたいユーゼスにとって、このナデシコをどうにか確保、使用することは不可能だった。 しかし、それは利用価値が完全にゼロであることを示すわけではない。 ユーゼスは、機能を現在停止しているナデシコの熱源をサーチ。 そして、微弱な反応があったその中心へ、一気にユニコーンドリルを差し込んだ。 歪なユニコーンドリルで形作られた腕が掴むのは、ナデシコの心臓部。 動力炉である、相転移エンジンだった。 「意外に小さいな……このサイズ2つと補助動力炉4つで300m級戦艦を航行させているとは」 引き抜かれた腕の2,84mの球体を眺め、ユーゼスは呟く。 高いレベルの技術力に対する純粋な賛美。その青く照らし返す銀色の球体を、しげしげとユーゼスは見つめ――取りこぼした。 「な……!?」 握っていたユニコーンドリルの手が、球体を中心に光の屈折が起こったかのようにぶれたのだ。 突然の出来事に、反射的に機体をひかせた結果腕から球体はこぼれおちる。 落ちた球体は、何度か光の照り返しを行うと、音もなく光を失った。 「空間直結連動型エンジン……? それとも相転移炉循環型エンジンか……? ……ちょうどいい、これを使わせてもらおう。レオサークル……『ハイパースキャン』」 ぎちぎちと音を立てて変形する右足。 それに合わせて、目の前の物体のデータが集積され、ユーゼスのコクピットにあるウィンドウへ調べた結果の詳細が表示される。 その結果を見て、ユーゼスは目を細めた。 「なん……だと? 相転移炉……これは……!」 相転移エンジン――それはインフレーション理論で説明されている真空の状況下における相転移を利用し、 真空の空間を、エネルギー準位の高い状態から低い状態へ相転移させることでエネルギーを発生させる技術である。 故に、大気圏内では機能はそこまで高くない。真空下に比べれば格段に劣るだろう。 だが、相転移エンジンの最大の特徴はそこではない。事実上、無から有を作り出すことで、半永久、半無限の力を生み出すことができるのだ。 一回、一時間、どんな単位の基準でもかまわないが、一ケースごとの放出量は少なくとも、時間をかけることで総合的には大きなエネルギーを生み出せる。 以前、ブラックゲッターからメディウスへ移行したエネルギーが、使用したとみなされず補給されなかったことからユーゼスはこう考察した。 この会場におけるエネルギー総量は有限であり、時間がたち機体が破壊し使用不能になるたびその総量は減る――と。 しかし、このエンジンはその枠を破壊しうる。なにしろ、『上限なし、無限を発生させる』のだから。 多少エネルギー変換効率が悪いのは、問題ない。 ただ……今度は逆の問題が生じる。 ナデシコから採取した相転移エンジン2基。そして核パルスエンジン4基、これだけのものを現状メディウスが積み込むことができないのだ。 現状大型機並みのメディウスでも、戦艦のエンジン全てを搭載するにはサイズが足りない。 さらに、強引に積み込んだとしても今のメディウスではそれだけの膨大なエネルギーを使用、および貯蔵することは難しい。 コンパクトで、物質への変換性を持つ高エネルギー物質がベストだが、そんなものはここにはない。 余談だが、とある世界でメディウスが取り込んだラ・ムーの星はその全ての条件を満たした物質だった。 超巨大な姿へライディーンの質量を増大させ、大きさは数センチでありながら、莫大なエネルギーを保有していた。 話を戻すが、今のメディウスは、成長にエネルギーがいるが、現状飽和量のエネルギーを取り込めば物質に変換できない以上崩壊してしまうのだ。 こればかりはどうしようもない。急激なエネルギーの収集に耐えられるだけの基礎、肉体をどうにかして作り出す必要がある。 「これを持って、A-1に向かうのが現状最高か……? テンカワ・アキトの回収もしたいが、リスクが大きすぎるな……」 扱いにくい手駒プラス研究対象としての価値と、今からさらにネゴシエーターたち相手に近づく危険を天秤に乗せる。 貴重な手駒としての価値も、あの二人で埋め合わせできた。今から、向かうのはどうなのか。 そう考えながらもひとまずこの場を離れようとしたときだった。 天を覆う大群が、こちらに迫ってくることにユーゼスは目をむいた。 「二人とも! 大丈夫ですか!?」 キラが、気絶した二人へと声をかける。 あの戦いが終わったあと、力を使い果たし、気を抜いたためか、バサラとシャギアは気絶してしまった。 元々、シャギアは相当な境地まで精神をすり減らしたうえで、あのヒメの誤殺からずっと気を張っていたのだ。 そこから意識が困憊するに至り、戦闘の終わりと同時に限界がきた。 バサラも、時間は短かったとはいえ激動、激震の状況を全力全開で動き続けたのだ。 泥のように今はラーゼフォンの中で眠っている。 どうにかあの戦いを切り抜け、この場に残っている面々は、まず情報の交換、そして負傷者の最低限の処置を行うことにした。 なにしろ、全員この場にたどり着いた途端戦いに巻き込まれていき、全景を正確に把握しているものがいないのだ。 まず、情報や認識、立場の祖語を埋めなければ今後の行動も決定しようがない。 無論、ユーゼスや危険人物の追走などから、時間も大切であることは分かっている。 しかし、現状一度戦いを潜り抜けきった時に整理しておかねば、また連戦となり結局意思疎通ができなくなる可能性もある。 どうにかナデシコの惨状を知るシャギアが起きたのは、戦いが起こって30分経ってからだった。 ロジャーとブンドルが機体に乗って周囲を警戒し、キラ、甲児、アイビス、ソシエはシャギア、バサラの様子を確認し、今に至る。 「それじゃ、俺がブンドルさんと行ったあと……」 「ああ……その通りだ。予定の地点へ……進んでいた、我々は……テニアと合流し―――」 とつとつと、どうにか紡ぎだすシャギアの言葉は、すべての誤解を解くに値する言葉だった。 両者にもぐりこみ、内乱、自滅を誘った人間がいる。そして、その人間こそ他でもないテニアだった、と。 結局、ナデシコチームも、Jアークチームもその言葉からくる疑心暗鬼に乗せられていた。 そして、ナデシコチームはテニアの予想外の出来事が重なった結果か、ほぼ全滅に至る。 テニアは裏切り、オルバとヒメは死に、ガロードとクインシィは消えた。残ったのは、シャギア、甲児、バサラのみ。 「それじゃあ、今ナデシコはどこに?」 しばらく話し、内容がこの戦場に差し掛かった時、キラはシャギアに問いかけた。 「分からん……バサラに任せ、後退したのは……いいが、その後……ユーゼスが、 ナデシコをどうしたのか。分かるのは……私ではなく――」 シャギアは疲労しきった顔でラーゼフォンを見る。全員が、その意味を理解した。 そう、ナデシコがどこにあるか、どうなっているかを知る人間はバサラだけなのだ。 その肝心のバサラが気絶しているのだからどうしようもない。 最悪、あのユーゼスがどさくさ紛れに強奪、今頃奴の手札となっているかもしれない。 ただでさえ、サイバスターのコスモノヴァクラスの破壊力の武器が複数必要なこの段階で、これだけの機体の損失は重すぎた。 「もし、彼等が残ってくれればよかったのだが……」 「そもそも、先ほどのあれはなんだったんでしょうか……?」 ほんの僅か、声に力をいれてシャギアは言った。 「……我々には及び付かない。ただ、分かることは『もうガロード・ランは帰ってこない』ということだ。少なくともこの場は」 あの目の当たりにした超現象。誰一人として理解の追い付かぬ先へと彼らは行ってしまったのだろう。 あの衝撃を受け、雲も謎の生き物も消失した空は何もなく、ただ茜空が広がっている。 「これからの行動方針、つまりやるべきことは大きく分けて3つ。Jアークとの合流。 可能ならばナデシコの回収もしくは奪還。そして、最後はガイ……いやアキトからの話を聞くことだ」 周りの人間が話していたことを、ロジャーが的確にまとめる。 前の二つは当然ながら、最後の一つも重要なのだ。ここにいる、大きな勢力3つ。すなわち、 Jアーク、ナデシコ、そしてユーゼスチームだ。彼らもまた、チーム単独でレジセイアへの反抗を決定しているに違いない。 カミーユの言動からも、首輪や手駒を集めなどレジセイアへの反逆に必要なことを多々おこなっている。 今は、少しでも全員の知恵を結集させねばいけないのだ。そのためには……ユーゼスとの情報交換も必須。 その言葉に、苦い顔をする者も多かったが、こればかりはどうしようない。タイムリミットは迫っているのだ。 「だが、今再び分かれるのはまずい。戦力も足らない。ここは合流して一つ一つ―――」 そこまで言った時だった。 天を覆う大群が、こちらに迫ってくることにロジャーは目をむいた。 【15時31分】 F-1――そこに残留した高濃度のゲッター線は、インベーダーたちを引き寄せるに足るものだった。 ゲッター線を好み進化を願うインベーダーたちの群れは、一度はガロードたちに全て吹き飛ばされ空白地帯となったF-1になだれ込む。 【15時47分】 「皆さん、引いてください!」 キラの言葉に合わせて、一同がその場から飛びすさる。 前線で食い止めていたインベーダーが密集した場所へ、ストレーガのエレクトリックキューブが投げ込まれた。 撒き散らす電撃がインベーダーを焼くが、すぐさまその屍を乗り越えてインベーダーは彼らに殺到する。 「くっ! 言葉の通じる相手ならやぶさかではないが……!」 騎士凰牙の回転する右腕が、インベーダーを砕き、飛び散らせる。 しかし、立て続けに横からもインベーダーたちは騎士凰牙へ肉薄する。涎を垂らし、かみつかんと口腔を広げるインベーダー。 「どうする!? 数が多すぎてこのままじゃ……!」 騎士凰牙のすぐ側にいたネリー・ブレンが、超短距離ジャンプで騎士凰牙をインベーダーから引きはがす。 即座にそのままサイバスターがディスカッターを振りかざし、インベーダーのそれ以上の接近を許さない。 「理性もなく破壊衝動にとらわれ蠢く様……美しくない、な」 しかし、サイバスター一機では限界がある。怒涛のように押し寄せる怪物の前に、サイバスター一機では無力過ぎた。 飲み込まれる直前にサイバードへチェンジ、空へと舞い上がる。 あまりにも、数が足りない。何しろ、事実上戦えるのは四機だけだ。 ガナドゥールはとても戦闘に参加できる状態ではなく、怪我人を抱えている以上、後方で待たせるしかない。 ラーゼフォンは、バサラが気絶した今、戦闘行動は不可能だ。 なぜか、障壁のようなものが発生し、ラーゼフォンとバサラを守っているが、ラーゼフォンが自律起動している理由は分からない。 ともかく、八方ふさがりと言っても過言ではない状況だ。 この孤島から脱出するためには、大なり小なり飛んで湖を超えなければいけないが、それが難しい。 インベーダーの中、戦闘不能直前の機体を二機護衛しながら超えるというのは、現実不可能と言えた。 しかし、決して誰も見捨てないのは彼らの人徳によるものが大きいだろう。 「ちょっと、どうするのよ、これ!?」 ソシエの声。さしもの吉良やロジャーも、回答のしようがない。 今では、持ちこたえているが、いつ押し切られるやも分からない。このまま行けばじりじりと押し切られてしまうだろう。 「この様子では、まさか会場全体にこれが出現しているのか?」 「そんな……そうだとしたらJアークが危ない!」 しかし、危ないとは分かっていてもまずここから脱出することができないのだ。 Jアークの救援どころか自分たちの身の護衛すら難しい。 「だれか、このエリアの補給ポイントを知っているか?」 ブンドルの言葉に、即座にキラは反論を返す。 「補給する前にみんなの気力が尽きます、それに機体のダメージだって……!」 キラの言うことは、ある意味正しい。 ここまでの疲れに加え、先ほど大規模な戦いで疲弊している。 ここで補給をしたところで、ほとんど戦闘継続という意味においては意味がない。 だが、ブンドルの言葉の真意はそこにない。 「違う。ネリー・ブレンのバイタルジャンプを使う。そうすれば……っ!?」 不意を突く角度で接近するインベーダーをどうにかサイバスターは反応して両断する。 キラも、今の言葉を受けてやっとブンドルの言葉の真意を理解した。 「そっか……! バイタルジャンプで隣のエリアへジャンプを繰り返せばいけるんだ……!」 アイビスは知っている。長距離ジャンプは、4割近いエネルギーを使用する。 だが……『4割』という数値は、10割ならば2回できるということだ。一回使っても5割は切らない。 一機を抱えて飛ぶことで生まれる消耗を加味しても、往復はできる。 つまり、飛ぶ以外の方法で脱出も可能というわけだ。 「わたし……が……知っている……!」 疲労困憊の中、それでもシャギアは声を絞り出す。 ソシエの肩を借り、どうにかウィンドウを指で押さえた。 「ここに、あるのね!?」 「ああ……そう、だ……!」 ソシエが、その情報を全員に伝達する。 地図に、希望の星が灯った。 【15時58分】 「なんだ……!? 先ほどですべてではなかったのか!?」 ユーゼスの周りを取り囲むは、数多のインベーダーの群れ、群れ、群れ。 たった一人で、他者を信じないユーゼスに、味方はいない。 どうにか、手足に纏いつくインベーダーをレオサークルで切り裂き、ブルホーンで突き刺し、ドラゴンフレアでなぎ払うが、数が多すぎる。 完全に焼け石に水だ。四人がかりでも、追いつけなかった破壊速度を、たった一機のユーゼスがこなせる理由などなかった。 たちまち、全身をインベーダーが覆い尽くす。締め付けるインベーダーが、メディウスのひび割れた装甲から入り込み始めた。 「システムエラーだと!? まさか……ラズムナニウムを侵食しようというのか!?」 インベーダーは機会と融合し、その機能を操作するなど乗っ取りができる。 これほどの力を持つ素体を、インベーダーが見逃すはずがなかった。二重三重にインベーダーが重なりあう。 ユーゼスも必死にプログラムを送り、逆にラズムナニウムによる乗っ取りを行おうとするが、あまりにもインベーダーの量が多すぎる。 侵食速度が、AI1の処理速度を上回っているのだ。このまま行けば……中央のコクピットにすらインベーダーは侵入してくる。 そうなれば、自分は終わりだ。しかし、無情にも浸食は止まらない。 機体の放棄も、ハッチの上にもインベーダーが重なっているため不可能だった。 「こんなところで……! こんな不確定要素で私が……!」 会話できるネゴシエーターたちならまだマシだった。 しかし、目の前にいるのは利害を説くことも、そもそも会話すら不可能な化け物。 ただ無慈悲にメディウスを攻め立てる。 「こんな……結末など……」 ついに、コクピットが一部陥没を始める。金属隔壁の一枚向こうには、もうインベーダーがいるのだろう。 「絶対に……認めん!」 16時ちょうど。その時間が――――――訪れる。 【16時17分】 「ちょっとあれ!?」 「まさか――アキトか?」 必死の行軍の末、どうにか補給ポイントに到達したキラ達。 その補給ポイントの前に倒れていたのは、ブラックゲッター、つまりアキトだった。 マスターガンダムの装甲を引きはがし、中を改めてからの2分ばかりの間。 消費したエネルギーの回復、そして何よりガウルンとの遭遇のためアキトは補給ポイントへ足を進めていたのだ。 焦る意識の中、ガウルンが放置機体を回収したとすれば、この戦いの消耗をまず回復するだろうという読みで、 バッドトリップまでの僅かな時間をアキトは駆け抜けていたのだ。 この読みは、半分当たり半分はずれだ。 ガウルンは確かに放置された機体を回収はしたが、そのままワームホールへ飛びこんでしまった。 もしガウルンがいるなら立て続けに錠剤を飲むつもりだったが、その姿はない。 そして悪夢の時は訪れ、アキトはただ暴れ回る。 これがモビルスーツなどなら、アキトは今の今までインベーダーにただ蹂躙されることとなっていただろう。 だが、よりにもよって彼の乗っているマシンはゲッター1を改良したブラックゲッター。 その操縦方法は、体の各部に装着されたコードとマシンアームを通し、モビルファイターと同じく自分の動きを再現すること。 機体との接続を切らず、ユーゼス謹製の薬による重度のバッドトリップの中のたうち暴れ狂う。 そのことが結果として、戦闘はせずともインベーダーから身を守る結果となったのだ。 獣のように四肢を振り回し、バッドトリップの中目に映るもの全てに狂気を写す。 「が、ああああ、あああああああああああ!?!!?」 インベーダーが、ブラックゲッターが手足を振るうたびになぎ払われていく。 アキトの体に染みついた動きが無意識下でもある程度行われ、インベーダーを確実に破壊していた。 ――補給ポイントのすぐ側で。 「止まれ、アキト! どうした、何があった!?」 ロジャーの呼びかけにも応じようとしない。通信を開けば、頭や体を掻きむしり、目に映る全てを薙ぐため手足を回す。 ロジャーもキラも、誰一人としてアキトがバッドトリップで苦しんでいることは分からない。 分かるのは何かがあってアキトが錯乱に近い状態であることだけだ。 このまま暴れ続け、もしもアキトが補給ポイントを傷つけることになれば、希望は断たれてしまう。 「どうにかして押さえましょう!」 「けど、どうするんだ! こっちじゃ押さえられるのなんかいないぜ!?」 ブラックゲッターの身長は、60m級の大型機。 対して、今の一同の戦える機体は大きくて30m級と、とてもブラックゲッターを抑えられるようなパワーや体格を持っていない。 唯一持っているラーゼフォンも、今は乗り手が気絶し、引きずってここまでもってくるのにも苦労したくらいで意味がない。 「下手に攻撃しては、補給ポイントを傷つける恐れがある、というわけか……!」 珍しく僅かに焦りの混じったブンドルの声。それに追い打ちをかけるように状況は切迫していく。 「うしろからも来てるわよ!」 「駄目、抑えきれない!」 背後から迫るは、群れなすインベーダー。 倒しても倒してもきりがないほどの数が、空と後ろから蠢き声を上げる。 アキトを補給ポイントの無事を確保しながら倒すのは、全員がかりでも至難の業。 しかも、全員で取りかかればその隙にインベーダーはキラ達を飲み込むだろう。 そして、インベーダーを相手にすれば、アキトは放置するしかなく、脱出はできない。 アキトが補給ポイントを破壊してしまえば万事休すだ。 手が足りない。どうしようもない。 絶望がじわじわと全員の心を蝕む。けしてあきらめない、ここで死んでたまるかと思っても、現実は非常過ぎた。 こんな絶望を吹き飛ばし、一蹴に伏すような、ご都合主義の神様はここにはいなかった。 全てが最悪に組み合い、終わりの時はもうすぐそこにある。 それでもやってみせるとロジャーがアキトへ、ブンドルとキラがインベーダーに向かいあった。 その時だった。 天から声が響く。 「それは私にとって重要なサンプルなのでな。――手荒な真似はやめてもらおう」 空を覆うインベーダーが、突如発生した巨大な黒級を中心とする重力異常体に引きずり込まれた。 次の瞬間、極彩色の世界がキラたちの前で発生。インベーダーごとビルを飲み込み、その内部にあるものを分解する。 さらに、流れ玉のように虚無色の柱――グラビティ・ブラスト――が正確にブラックゲッターを叩く。 アキトが気を失ったが故か、ブラックゲッターは動かなくなった。 ものの一瞬で、悪夢を粉砕した存在は。 彼らに話しかけるその声は。 そう、その声は。 「ユーゼス・ゴッツォ………!? その機体は!?」 空から舞い降りる、超・超大型機。優に100mを超えようかという巨体が空に浮かんでいる。 胸の中心に輝くは、2つの蒼星――相転移エンジンと、4つの赤星――核パルスエンジン。フォルムは、獣のようでもあり同時に人間にも近い。 「そうだな……これは名付けるなら超神ゼスト・第3段階とでも名付けようか」 ここに至るまでにさらに蓄積されたAI1の情報、この乱戦で集まった数多くの機体のデータと戦闘経験、 そしてナデシコやその周囲に放置された機体の動力炉を積み込むことで誕生した新しいゼスト。 その構成物質は、元・インベーダーの肉体とナデシコの装甲、僅かに第二段階ゼストに残っていたラーゼフォンの欠片、そしてゼスト自身。 16時00分――何が起こったかを語ろう。 その瞬間、遠く離れたアムロ・レイの放った光は、今まさに寄生中であったインベーダーを焼いた。 そして、その意志を殺しつくしたわけだが、肉体まではゲッター線の影響もあって強固だったため破壊しつくすことはできなかった。 融合し、相手の構成物となるインベーダー特有の機構と、ラズムナニウムの変化、吸収の理論が、 浴びたゲッター線と体内に内蔵されたゲッター線の両面から合わさり、猛烈な勢いで自己形成を始めた。 意思を失い、完全にラズムナニウムに高速で食い荒らされる苗床と化したインベーダーの肉体は、メディウスの糧となる。 新しい大量の肉体を構成できる物質を得た。そして、それを最大速度で完成するために必要なエネルギー源もまた、ナデシコなどから奪い取ったものがある。 ここに来るまでに、ヴァイクラン、マスターガンダム、プロトガーラント、マジンガーZ、旧ザクの動力炉をさらに取り込み、 ナデシコから奪った6つを合わせれば、最初からメディウスに積まれていたものも含めて12の動力炉を内蔵するに至ったのだ。 相転移砲やベリア・レディファーを使用することすら可能となったその姿は、まさに神に匹敵する。 「やいやいてめぇ! 突然出てきて何言ってんだ!」 甲児がユーゼスに向けて叫ぶ。しかし、あまりにも力の差がありすぎる両者の立ち位置を考えれば、それはひどく空しいものだった。 事実、ユーゼスはいつでも踏みつぶせる虫けらをみるような眼で甲児を見下ろすばかりだ。 「……せっかくこれらを消滅させてやろうと申し出るつもりだったのだがな。必要はないか?」 「何?」 「この害虫どもを全て駆除してやろうと言っている。その代わり、それが必要なのでな」 くいと指をユーゼスはブラックゲッターへ向ける。 「どうやら、これはゲッターの放つ宇宙線を好む性質があるようなのでな。そのブラックゲッターの心臓をここで暴発させる。 そうすれば、ただでさえ深刻な……そう、『ゲッター線』とでも名付けようか。ゲッター線が、さらにまき散らされる。 上空でできれば、おそらくそれにひかれて会場中の害虫が集まってくるだろう。そこを私が掃除する」 「本気か……? この会場全ての化け物を一人で片づける、とでも?」 ブンドルの推し量るような言葉を、ユーゼスは一蹴する。 「このゼストの慣らすにはちょうどいいだろう?」 押し黙る全員に、ユーゼスは言う。 「どうした、不満があるなら今ここで全機を破壊し、その動力炉を奪った上でブラックゲッターを回収してもかまわないが?」 圧倒的、高みからの発言。しかし、今のユーゼスはそれを虚勢ではなく実際に実行するだけの力があるのだ。 そう、ここにいる全員をまさに言葉通り『瞬』殺するだけの力が。 「最後に聞かせてほしい。なぜユーゼス、君は私たちを殺すだけの力がありながら見逃す? その意図は何だ?」 「簡単なことだ、ロジャー・スミス。私には私の、お前たちにはお前たちの役目がある」 「役目……?」 「そう、役目だ。私はレジセイアを破壊するため、やらなければいけないことがある。それでお前たちと分担しようと提案したい」 その言葉に、ロジャーは顔をしかめる。 「ユーゼス。相手と交渉をしたいと思うのなら、まずは武力をちらつかせるのはやめるべきだ。フェアではないな」 「フフフ……その通りだなMrネゴシエーター。いいだろう」 ゼストが、轟音を響かせながら地面へ降りる。そびえたつその巨体は、ただ立っているだけで凰牙を圧倒する威圧感を持っていた。 「私は、先ほどの空間の亀裂、そして相転移エンジンによる空間の在り方を観測した。そして、気付いたのだ」 「それは……この空間が崩壊しつつあることですか?」 空間、と来ただけで気付いた聡明なキラの台詞に、ユーゼスは満足げな目を向ける。 「その通りだ。いざとなれば力技で突破も不可能でもないかもしれないが、どこをどう破壊すれば効率がいいのか、 どこを破壊すればレジセイアの元に向かえるのか……それを知るために空間の観測をお前たちにはやってほしい。 もっとも、今返答をよこす必要はない。そうだな……私に協力してくれるのならば、E-3に24時に来てほしい」 「それに対する見返り、は……?」 「首輪の解除方法。これで不満はあるか?」 「現状、それに対する具体的な方法と、その確保は?」 「現在はないが、24時までに用意するだけの駒はそろっている。そして、現状私が一番首輪の真実に近いと自負しているが」 「では、今の時点ではないということだな」 「それはお前たちが空間の観測を行えるかどうかも同じことが言える」 「しかし持ちかけた側には………」 ロジャーとユーゼスの問答が続く。 そこへ、キラが口をはさんだ。 「わかりました。僕たちはあなたの提案を飲みます」 「キラ!?」 「ちょっと何を言ってるのよ!?」 不満の声が上がるのを手で制して、キラは言う。 「今は、争ってる場合じゃないんだ。確かに割り切れない部分もあります。けど、そうやって争っても…… 僕たちは、まだ完璧とは言えませんが、空間に関してはすでに観測を始めています。 それで分かったのは……思った以上に時間がないことです。もう、争っている時間はないんです。 本当に……協力してくれるんですね?」 「無論だとも。私も同じことを重々承知している。そう、無駄な血を流す猶予はないということだ」 キラの言葉にユーゼスは頷くと、ブラックゲッターの首を掴むと、そのまま上空へ昇って行く。 「では、24時、E-3で会おう。お前たちが、この島を離れられるように害虫を掃除せねばな」 それだけ言い残し――ゼストの姿は見えなくなった。 【シャギア・フロスト 搭乗機体:なし (ガナドゥールに同乗中) パイロット状態:疲労 戸惑い 機体状態:なし 現在位置:D-2 第一行動方針:??? (とりあえずキラたちについて行くつもりのようだが、内心何を考えているか不明) 第二行動方針:ガウルン、テニアの殺害 第三行動方針:首輪の解析を試みる 第四行動方針:比瑪と甲児・ガロードを利用し、使える人材を集める 第五行動方針:意に沿わぬ人間は排除 最終行動方針:??? 備考1:首輪を所持】 【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:精神は持ち成した模様、手の甲に引掻き傷(たいしたことはない) 機体状況:ソードエクステンション装備。ブレンバー損壊。 EN25% 無数の微細な傷、装甲を損耗 現在位置:D-2 第一行動方針:Jアークへ向かう 第二行動方針:協力者を集める 第二行動方針:基地の確保 最終行動方針:精一杯生き抜く 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】 【兜甲児 搭乗機体:ストレーガ (スーパーロボット大戦D) パイロット状態:疲労 機体状態:機体状態:右肩に刺し傷、各部にダメージ(戦闘に支障無し) EN40% 現在位置:D-2 第一行動方針:誤解は氷解したため、Jアークに協力する 第二行動方針:ゲームを止めるために仲間を集める 最終行動方針:アインストたちを倒す 】 【キラ・ヤマト 搭乗機体:なし パイロット状態:健康、疲労(大) 全身に打撲 現在位置:D-2 第一行動方針:殺し合いを止める。 第二行動方針:出来るだけ多くの人を次の放送までにE-3に集める 第三行動方針:首輪の解析( マシンセルの確保) 第四行動方針:生存者たちを集め、基地へ攻め入る 最終行動方針:ノイ=レジセイアの撃破、そして脱出】 【ロジャー・スミス 搭乗機体:騎士凰牙(GEAR戦士電童) パイロット状態:肋骨数か所骨折、全身に打撲多数 機体状態:左腕喪失、右の角喪失、右足にダメージ(タービン回転不可能) 側面モニターにヒビ、EN60% 現在位置:D-2 第一行動方針:殺し合いを止める 第二行動方針:出来るだけ多くの人を次の放送までにE-3に集める 第三行動方針:首輪解除に対して動き始める 第四行動方針:ノイ・レジセイアの情報を集める 最終行動方針:依頼の遂行(ネゴシエイトに値しない相手は拳で解決、でも出来る限りは平和的に交渉) 備考1:ワイヤーフック内臓の腕時計型通信機所持 備考2:ギアコマンダー(黒)と(青)を所持 備考3:凰牙は通常の補給ポイントではEN回復不可能。EN回復はヴァルハラのハイパーデンドーデンチでのみ可能 備考4:ハイパーデンドー電池4本(補給2回分)携帯 備考5:バイパーウィップと契約しました】 【ソシエ・ハイム 搭乗機体:ガナドゥール パイロット状況:右足を骨折 機体状態:頭部全壊、全体に多大な損傷 駆動系に障害 機体出力の低下 EN40% 現在位置:D-2 第一行動方針:殺し合いを止める 第二行動方針:出来るだけ多くの人を次の放送までにE-3に集める 第四行動方針:この機械人形を修理したい 最終行動方針:主催者を倒す 備考1:右足は応急手当済み 備考2:ギアコマンダー(白)を所持 備考3:ハイパーデンドー電池4本(補給2回分)、騎士凰牙の左腕を携帯 備考4:ガトリングボアと契約しました 】 【レオナルド・メディチ・ブンドル 搭乗機体:サイバスター(魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL) パイロット状態:良好(主催者に対する怒りは沈静、精神面の疲労も持ち直している) 機体状態:サイバスター状態、各部に損傷、左拳損壊 ビームナイフ所持 現在位置:D-2 第一行動方針:殺し合いを止める 第二行動方針:マシンセルの確保 第四行動方針:サイバスターが認め、かつ主催者に抗う者にサイバスターを譲り渡す 第五行動方針:閉鎖空間の綻びを破壊 最終行動方針:自らの美学に従い主催者を討つ 備考1:ハイ・ファミリア、精霊憑依使用不可能 備考2:空間の綻びを認識 備考3:ガウルン、ユーゼスを危険人物として認識 備考4:操者候補の一人としてカミーユ、甲児、キラに興味 備考5:ユーゼスが解析した首輪のデータを所持(ただし改竄され不完全なため、単体では役に立たない)】 【熱気バサラ 搭乗機体:ラーゼフォン(ラーゼフォン) パイロット状況 DG細胞感染。喉の神経圧迫は完治。気絶 機体状態:右腰から首の付け根にかけて欠落 胴体ほぼ全面の装甲損傷 EN残量20% 現在位置:D-2 第一行動方針:??? 最終行動方針:自分の歌で殺し合いをやめさせる 備考1:真理の目が開いています】 【16時50分】 「さて……うまくこちらの誘いに乗ってくれたようでなによりだ」 ユーゼスはF-1上空で、そう嘯いた。 遠くを映せば、島の向こう側をキラたちは進んでいる。 「どのように解釈し、納得したかは知らないが……これでもう問題はない」 そう言って視線を向けるは、相変わらず気絶の最中でも副作用に苦しんでいうのか呻き続けるアキト――いや、ブラックゲッター。 ユーゼスが求めたのは、ゲッターだったのだ。 あれだけの事態を収束させたゲッターの存在。そしてゲッターから放たれる宇宙線が与えるあの生物への影響。 そして、死んだはずの人間をエネルギーとして保存し、再生する能力。 今振り返れば、首輪と何かがメディウス内部で衝突し、コントロールが失われかけた時、それを押さえたあの光。 「こんなところに、鍵が眠っていたとは……存外気付かないものだな」 今から真に調べるべきなのは、このゲッター線が首輪など外部の物体に、いかな影響を与えるかだ。 これを調べることこそ、首輪の解除、引いては新たな超神をさらなる高みに登らせるために必要なことだ。 ゲッター炉を暴発させる? そんなことはもったいなさすぎてできるはずがない。 「もっとも、これらが私の計算に収まらない存在だった時……すべて終わった後その手は打たせてもらおう」 インベーダーという会話すら不可能な存在に、死の目前まで追い込まれたことはユーゼスも忘れていない。 いつか、計算外の存在が自分の敷いたレールを外す可能性がある。そのため、せん滅する必要もわずかではあるがユーゼスは感じていた。 だが、今は。 今――自分は。 「何も恐れるに足りん……! ここまでくればラプラス・コンピューターの確保も奴らを使いつぶしてからで十二分。 素晴らしい成長だ、AI1……様々な物質、要因が重なることで、ここまで成長するとは……! お前は素晴らしい存在だ! 必ず、唯一無二の存在……『超紳』まで押し上げてやろう……!」 ユーゼスの笑い声が、インベーダーの消えた夕焼けの中で木霊していた。 【ユーゼス・ゴッツォ 搭乗機体:メディウス・ロクス(バンプレストオリジナル) パイロット状態:疲労(中) ハイ 機体状態:EN残量100% ヴァイサーガの五大剣を所持 データウェポンを4体吸収したため四肢が再生しました。 第三段階へ移行しました。 デザインの細部、能力(相転移砲などが使用可)が一部違いますが、基本MXのそれと変わりありません。 現在位置:F-1 上空 第一行動方針:ひとまず放送前にA-1に向かい統夜、テニアと合流 第二行動方針:AI1のデータ解析を基に首輪を解除 第三行動方針:サイバスターのラプラス・コンピューターの回収 第四行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒 第五行動方針:キョウスケにわずかな期待。来てほしい? 第六行動方針:24時にE-3へ 最終行動方針:主催者の超技術を奪い、神への階段を上る 備考1:アインストに関する情報を手に入れました 備考2:首輪の残骸を所持(六割程度) 備考3:DG細胞のサンプルを所持 】 ナデシコやマスターガンダム、ヴァイクランといった放置機体は解体(心臓部を除き粉砕)されました。 生存しているインベーダーは、ゲッター線にひかれてF-1に集まる傾向があるようです。 【テンカワ・アキト 搭乗機体:ブラックゲッター パイロット状態:マーダー化、五感が不明瞭(回復傾向)、疲労状態 怒り バッドトリップ中 気絶 機体状態:全身の装甲に損傷、ゲッター線炉心破損(補給不可) 現在位置:F-1 上空 第一行動方針:ガウルンの首を取る 第二行動方針::キョウスケが現れるのなら何度でも殺す 最終行動方針:ユリカを生き返らせる 備考1:首輪の爆破条件に"ボソンジャンプの使用"が追加。 備考2:謎の薬を2錠所持 (内1錠はユーゼス処方) 備考3:炉心を修復しなければゲッタービームは使用不可 備考4:ゲッタートマホークを所持 】 BACK NEXT 排撃者――表排撃者――裏 投下順 闇の彼方に伸ばす指先 排撃者――表排撃者――裏 時系列順 闇の彼方に伸ばす指先 BACK 登場キャラ NEXT 怒れる瞳 シャギア 闇の彼方に伸ばす指先 怒れる瞳 アイビス 闇の彼方に伸ばす指先 怒れる瞳 甲児 闇の彼方に伸ばす指先 怒れる瞳 キラ 闇の彼方に伸ばす指先 怒れる瞳 ロジャー 闇の彼方に伸ばす指先 怒れる瞳 ソシエ 闇の彼方に伸ばす指先 怒れる瞳 ブンドル 闇の彼方に伸ばす指先 怒れる瞳 バサラ 闇の彼方に伸ばす指先 怒れる瞳 ユーゼス もう一つの対主催 怒れる瞳 アキト もう一つの対主催
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雑記:文或と近代もろもろ、166 9月14日めも。 とりあえず眠いです、リアルタイムは2020年10月21日、1年と1か月弱あとくらいの日付けです、そろそろさすがに放棄したほうがいいんじゃないかなキリよく1年分くらい、みたいなことは考えていないでもないですが、そもそもこのあと打ち込み続けるかどうかもわからない感じになっているのでとりあえず保留で。 まあさすがに差が1年分くらいのところまで辿り着くにはいいのかな…。 てかそもそも、今作ってるところまで本当にWikiにアップロードしたのかも不安になってるのでブラウザを立ち上げようとしたらなんか長期間動かしてなかったとかで今立ち上げ直しな感じに。 ゲーム用にグーグルクローム、ファイヤフォックスがWiki管理用なのでまあ、パソコンはそこそこゲームのために立ち上げてるけど、みたいな感じですかね。 いやうん、手帳にチェックすらしてなかったけど、とりあえず雑記は165まではアップロードしてた。 少しでも文章を打つことをしようと今、かなり強引な感じの時間に無理にこれをやっているのだけれども、その結果意味のある内容になるかというと…どうだろ真面目に、別にそうなる必要もあんまり感じない。 さすがに2019年の文アルのキャラ言及だけは完成させたいんだけど、それを成し遂げるためのハードルが結構上がってしまって…。 いやだって、年末くらいに来たキャラってその架空の日付けよりはあとに配置させなきゃ駄目だよなぁ、みたいなのが前にテンションが落ちた理由です、私以外にはどうでもいいしそもそもこの日付けも本気で謎だ、1年以上経つと特に。 9月15日めも。 えーと、引き続き2020年10月21日です、てかこの実際の日付けと表記してある日付けの乖離のせいで、新しいことも古いことも(単に覚えてない)正直語りにくくなってるんですけどもね。 ところで最近「自己研究ではないです」みたいなことを時々付け加えるようにしてるのですが、昔はやってなかったです、それこそ1年前とか全く。 まあ架空の日付けですけども。 なんというか「そう疑われているんだろうな」と思ったのではなく(この程度の自覚なら前からあった、ので、やってることを時々触れてた、元になる本があることは普通に見てけばわかるかなー、と思うので)、そう確信されていないととてもじゃないけど返って来なさそうな反論が来たので…。 私の見解じゃねぇよ、みたいなことを折々に添える感じになりました。 前から添えてたのは志賀さん辺りかなー、最近は個人の意見になったので添えなくなったけども、悪態が減ったので止めたというのが正確かしら。 ちなみに私は志賀さんの作品は短編しか読んでいないので、評価に関してはほぼ全て人のものになります、読んだ時にどうなったかとかはまあ別にいいだろあれ。 簡単に言うと現実逃避してる現状と、自分が信じたい環境とが交互にサラウンドで聞こえて来る感じです、酔うわ!! ただこれ、現実逃避だということがわかる人間が「人として上等か」みたいなことを考え始めるとおそらくそんなこともないので、単純な読み取り能力としてもわかるのかしらね、心境小説って呼んでた人たちとかそんな感じだよなぁ…。 9月16日めも。 私が時々「座談会」と呼んでいるのは多分明治文学研究会てところに属してる人たちか彼らが同格と認めてるのだろう人たちの本なんですが、なんで曖昧なのかというと数人しか確認取ってないからです、が、こっちに歴史研究などの素養がある人たちがいて、大正文学研究会のほうは素人ばかりだったというのは…同人誌がメインフィールドだった方の本で読んだのでまあ、大丈夫だろう。 正しいと信じているというより、怒られるほどのこともないだろう的な。 ただこの会、集められた辺りに関しては一通り読めたものの、その後実態として残ってるかどうかもわからんのでなんとも曖昧にならざるを得ない。 大正文学研究会の人らが戦後の文学史を作ってたのは見たんだけどね。 「日本文壇史」の伊藤さんもこの会にいたか、まあまあ関係者の人で、座談会にゲストとして呼ばれ、なにか、おかしい気がするんですが、的なことを言ってたら、そうだねー、問題外かなー、みたいに切り捨てられており、ろくすっぽ反論すらされていなかったのを見てなんとなく、なんとなくの事情を察しました…。 文壇史の作られた時期は長期になるので時系列がよくわからないのですが、このシリーズは全く辻褄の合わない各種証言が詰め込んであり、下手すると数ページの間に部数に関して食い違ってるなどのケースも拝見したため。 私は部数のだいたいの実数を覚える羽目になりました…。 だって、そこ嘘付くって発想はさすがにそれより前にはなかったもん!!! さすがに自社の雑誌にはやらんのだけども(やってるかも、でも単なる商業的理由)、勝手に他社を低く見積もってた可能性がね、面倒くせーな…。 9月17日めも。 で、前々日分からの続き、この座談会の大正篇にてこの人たちが言うわけですよ、志賀さんが「神」扱いされてる理由知ってる? みたいなことを。 いや知らん、マスコミ関係じゃないのかなー、てな結論になっていたわけですが。 あらあらあらあら、後世の見解に騙されてなーんにも知らないのねーwww みたいな感じにめっちゃ高笑いされてしまったことなどもある本なのですが、確かに大正期に世に出た作家たちとはあんまり付き合いさがなさそうではあるものの、明治の作家の逸話に登場する感じの人たちであり、かなり若い頃から重要な仕事に関わることのほうが多い編集者たちだったので…(てか、そういう人たちが文学研究やってるケースが多いので因果が逆みたいなんだけどね、理由とかは知らん、座談会で普通に当時の仕事の話してるから出てくるしなぁ、秋声から愛人押し連れられたとかの、なので多分ガチで聞いたことのある逸話の登場人物だったりもしてる)。 おーっほほほほほほおかしいわー、みたいな感じに空中リプライで嘲られてる中でこういう身元を順番に呟いていたらそのうち止みました。 ついったの風物詩というか、個人の資質というかなんというか。 秋声の愛人ってのはあの山田…何さんだっけ、花子さんじゃなくて、愛人は受け取ったものの結婚すると思われてたみたいですね、的なこと話してたよ。 さすがにあの遍歴の方をなにも言われずに受け取ったら結婚が確約されたみたいな思い込みするのは…どうなのかな…、変な褒め方してて全員で話逸らしてたけど。 この愛人受け取った同じ人が学習院で志賀さんの弟さんと友人だったぽいですが、年齢はまた違うのかな、転がり落ちるみたいに留年してたみたいなこと言ってたし。 9月18日めも。 なんか話が散らばりすぎてるのはまたあとで似たような感じの記事にするつもりですが、さすがに散らばりすぎてるのでもうちょっと統一テーマ作ったほうがいいと思うけどここで直すつもりとかは特にないんですけども、1年以上ズレてるし。しつこい。 まあ高笑いで、なーんにも知らないのねと嘲られてましたが、年下の格上みたいな感じの立場の人らみたいです、明治の作家とは結構仕事してんのに(だいたい自然主義くらいまで)、大正の作家とは菊池さんくらいしか今のところ関わりないみたいだからなぁ、大正はだいたい白樺からのカウントです。 白樺が実際に何年に世に出たとされてるのかはよく知らん。 覚えようと思ったけどなんか若干バリエーションがあるみたいで、細かい違いまで把握しようとはちょっと思わなかったんだよね、白樺作家の中央公論掲載がいつかとかなら確かどっかで見てたけど、武者さんとこの記念館でも見たし。 まあ、『白樺』は評論が付いてるみたいなのでそこを出版点にしてもいいみたいなんだけどもねー。 この評論に関しては鴎外さんのところの記念館で一般年表に入れていたのでオッケーじゃないかなってことにしてます。 この時期をもってして出世作と見做し、作家分類にするのもいいんじゃないかと思います、そういう扱いになってる本もあるし。 この時期をもってして「文壇を制覇した」扱いになるのはちょっとどうかなと思います、いや、本当にこの時期から芥川までがすっぽり欠けてる本読んだので、どうも漱石さんが作家になった時期も全盛期も知らない方だったみたいです…年齢上だしね。 9月19日めも。 なんの話でしたっけ、多分志賀さんの話ですね、あと座談会の話もしてた気がする、でも志賀さんの話と白樺の話が直接つながってなくて白樺からを大正に世に出たと分類するのが妥当みたいなこと語ってたんだったね。 いや、『白樺』だと確か明治だったんじゃないかな…。 正確なところを全く覚えてませんが、とある本で明治末から志賀さんが文壇を制覇してたので、芥川が志賀さんのことを崇め奉っていたのもあまりにも自然なことみたいな感じにつながってました、まあ確かに、鴎外さんや漱石さんが過去の人になってて志賀さんしかプロの作家がいなかったらそういう崇拝もわりと自然で、特に資料が少なくても他に大量の資料があっても問題はないような気もするんですけども。 菊池さんが世に出る前、志賀さんを自分よりちょっと前にいる商業仕事はしているアマチュアとして扱っていたので、どうなのかしら…。 あと漱石さんは志賀さんのプロ作家時代を白樺の同人誌スタートにするとかなり近くなってしまうというか、白樺そのものが漱石さんに捧げられているのは目次のページ見たらなんとなくわかるしなあれ…(武者さんとこの記念館でべっと広げてあった)。 あの本を書いた方が本当に志賀さんに興味があったのかどうかはわりと真剣に謎です、褒めればいいというものでも…ないような…。 あと正直言うと若干拘るべき部分を全体的に取り落としてるような気もします。 志賀さんが神ってところからスタートして最低限の年表などだけ見て文壇を作り上げて芥川の権威を最大に高めようとしてたとかかな…。 記録は残してるはずですが、著者さんは忘れました、多分感想にもこれ書いてるけど。 9月20日めも。 てか、とりあえず私は志賀さんに対して悪感情は特にないです、専門用語をでたらめにぶちかまして評論やってたっぽいのは引きつったけども、なんというかそこまで行くとぽめ案件じゃないですか、嫌う理由にはならない。 ちなみに研究者勢はその手の文章を全く見せてくれないので、志賀さんの快刀乱麻の評論を拝見するのはそれ以外の雰囲気を漂わせた感じの本やネットで、めっちゃ英知を褒め称えてました、多分だけど反論来なかったんでしょうね。 志賀さんの評価もだけど、なんというか真面目な研究本読んでて作家の評価が低くなることってまずないんだよね私の場合、大抵反論に値するものしか載せてないからなぁ、反論に値する文章はその時点で一定の意味はあるでしょ大抵。 どっちかというとこーーーんなに素晴らしいあれがあれがあれが!!! みたいな感じで大はしゃぎで紹介されているものは概ね場外ホームランな感じです、そういう情報が欲しかったんだよ! てな感じになる。 ああ、それで…インテリに見下されていたのか、と納得するというか…。 唯一の例外は菊池さんで、大抵エキサイトしてるのは研究者、同じ意見だわー、わかってるーー!!! みたいに頻繁に興奮されてる。 こないだ聞きに行った講演でもそんな感じでした、いきなり菊池さんの話でヒートアップして来た、なんだろあれ、と同行の子牛に聞いたところ「好きなんじゃないの」と返されたものの菊池さんの専門研究者で興奮してる人を見たことがなく。 やっぱり共感、同意のヒートアップだったのではなかろうか、てかあれ、合理主義としての意見の合致って気がするんだよね、百年経っても大丈夫ー(倉庫のノリで)。 9月21日めも。 ところで菊池さんの専門家がなぜあまり興奮しないかというと、菊池さんが正しいのはわりといつものことというか、「世の中のほとんどのことは金でなんとかなるじゃろ」的な信念から来てるような気がするので大抵のことが…。 感動に結びつくかっていうと、そこスタートだと素直に難しい気がします。 物質優先主義みたいな感じのところあるんだよね。 まあそういうところが日本文学関係の一部の人らには蛇蝎のごとく嫌われるんだと思うんだけど、こう、ほら、精神由来の幻覚の歴史を延々と読んでる時に唯一の理性である菊池さんが目に入ったら興奮するのも仕方ないような気もするんですよね。 逆に言うと天敵みたいなものなんだから嫌ってもしょうがないんじゃないかな。 で、ようやっとそれっぽいまとめを思い付いたんですが多分精神世界の頂点が志賀さんで、物質世界の頂点が菊池さんなんだと思うんですよね、いや、誰かの説とかじゃなくて事実上。 志賀さん以前にも日本文学の父とかもいたみたいなんだけど(鴎外さんとか)、なんか実際のご友人たちに邪魔されて打ち立てられなかったみたいなんですよね、あ、芥川の後輩の文章読んでるとたまに出てくるのでこの歴史、わりと真面目な話で、めっちゃ止めてって怒ってる鴎外さん関係の文章も、両方青空で読んだよ。 あと藤村バージョンもあるっぽいけどこれは多分当人が止めたな、偉いしな藤村。 志賀さんのはなんか、止めなかったんでしょうね、そもそも「本当に業界にいるの?!」と子牛に叫ばせ、知人の貴族の本書いた人には「作家辞めてた」って言われててデマ経歴ぶっ立ててもバレなさそうな偉い作家とか他に…いないんじゃないかな…。 9月22日めも。 で、まあ、だらだら書き連ねることもなく、志賀さんは「神って言い始めた人らが多分マスコミにいたと推測されていた寡作の作家」っていう大前提でもって、褒めてる人たちが自他境界曖昧にもほどがある尊い、なんて尊い、あまりにも尊い、もしくは他人をこんなにも見下すことが出来るのすごすぎ!! みたいな具体性が皆無話かマウントか(用語間違え含め)みたいな感じに分離してるので評価が高くなりようがなかったんですが。 神主張を叩きのめしまくった人格否定すれすれ(賛美側が褒め称えた分のカウンターなので判定は微妙)の座談会の原稿をチェックし、校長の交代時期とかちょっと違うから教えとくわ、とだけ返していた志賀さんを見てしまうと。 貴方は正気なのね、正気であの精神由来なのだろう日本文学の認識の混乱と志賀さんへの興味マイナスみたいなあれをも受け止めていたのね…、となり。 めちゃくちゃ時間掛かったけど、悪感情はないです。 そしてこれをどう端折ればいいのか、今わりと本気で途方に暮れている。 というかステレオで妄想と現実が迫ってくるんだけど! みたいなことを読書感想文的に呟いていたら(取り繕わないと怒られる、私もこれに関しては取り繕ったほうがいいと同意する、無味乾燥の教育じゃない)、座談会においても志賀さんが常に自分が正しいとか言い続けてて言動は他罰的だけどやっちゃったことをきちんと記憶していてあとで謝りに行ってたりするので、わかってるんじゃないですかねぇ、みたいなことを言っていて、そうまとめると捨てたものでもないし。 それわかる、現実伝わって来てた!! となったんですよね。 作品として評価するとかは置いといて、あれ伝えて来たのはすごいような…気が。 9月23日めも。 そしてまあ、心境小説という「現実の認識がなんか狂ってる」系の作品(日本の作品だともごもごしててわかりにくいので海外作品で見ると本当にストレートに言ってる、認識の狂いを主人公が認知してるものとしてないものとがあるらしい)として見るならば、それは確かになんかすごい切り口がありそうだな、と考えたところで、そういやそれに近いこと言ってた人いたなぁ、と思い返してたりしました。 にゃ、かなり古い記憶でそこから数年経って「これかな?」となったので自信がないので伏せておくけども。 ただこの全てを踏まえた上で、心境小説を確立させたのだ、と志賀さんが紹介されていると挙動不審になっていたりはしますが、直したいとかではないです、直したいとかではないです、心境小説とはなんぞやみたいなものが少し広まって、あれこれ、具体的にはどういう意味なのかしら? と感じる人が出てくれたらいいなー、とだけ…、てか、私小説と心境小説ってあったりなかったりするし、座談会の中でも簡単にほいっと取り換えてたりで、どうも境い目を確定させる必要が薄めの雰囲気だったんですが。 確立させたんだ! て方にどういうことなんでしょうか、と聞いてもいいのかどうかは多分ずっと迷います、ちゃんと定義があるなら聞いてみたいし。私の感じた理性と幻覚のステレオのこと指してない可能性とかもあるし。 でもそもそも「勘違い小説(一度だけ見た表記)」と志賀さんの作品のコンセプトってそもそもなんか合わせちゃ駄目系というか、ステレオ認識を一旦通らないとそれはそれで事故りそうというか、どうなのかしら…。 (文或と近代もろもろ、166) 雑記:文或と近代もろもろ、212 雑記:文或と近代もろもろ、210 雑記:文或と近代もろもろ、208 雑記:文或と近代もろもろ、207 雑記:文或と近代もろもろ、206 雑記:文或と近代もろもろ、205 雑記:文或と近代もろもろ、204 雑記:文或と近代もろもろ、203 雑記:文或と近代もろもろ、202 雑記:文或と近代もろもろ、201 雑記:文或と近代もろもろ、200 雑記:文或と近代もろもろ、199 雑記:文或と近代もろもろ、198 雑記:文或と近代もろもろ、196 雑記:文或と近代もろもろ、194 雑記:文或と近代もろもろ、192 雑記:文或と近代もろもろ、189 雑記:文或と近代もろもろ、188 雑記:文或と近代もろもろ、187 雑記:文或と近代もろもろ、185 雑記:文或と近代もろもろ、184 雑記:文或と近代もろもろ、183 雑記:文或と近代もろもろ、182 雑記:文或と近代もろもろ、180 雑記:文或と近代もろもろ、179 雑記:文或と近代もろもろ、178 雑記:文或と近代もろもろ、176 雑記:文或と近代もろもろ、175 雑記:文或と近代もろもろ、174 雑記:文或と近代もろもろ、173 雑記:文或と近代もろもろ、172 雑記:文或と近代もろもろ、171 雑記:文或と近代もろもろ、170 雑記:文或と近代もろもろ、169 雑記:文或と近代もろもろ、168 雑記:文或と近代もろもろ、167 雑記:文或と近代もろもろ、166 雑記:文或と近代もろもろ、165 雑記:文或と近代もろもろ、164 雑記:文或と近代もろもろ、163 雑記:文或と近代もろもろ、162 雑記:文或と近代もろもろ、161 雑記:文或と近代もろもろ、160 雑記:文或と近代もろもろ、159 雑記:文或と近代もろもろ、158 雑記:文或と近代もろもろ、157 雑記:文或と近代もろもろ、156 雑記:文或と近代もろもろ、155 雑記:文或と近代もろもろ、154 雑記:文或と近代もろもろ、153 雑記:文或と近代もろもろ、152 雑記:文或と近代もろもろ、151 雑記:文或と近代もろもろ、150 雑記:文或と近代もろもろ、149 雑記:文或と近代もろもろ、148 雑記:文或と近代もろもろ、147 雑記:文或と近代もろもろ、146 雑記:文或と近代もろもろ、145 雑記:文或と近代もろもろ、144 雑記:文或と近代もろもろ、143 雑記:文或と近代もろもろ、142 雑記:文或と近代もろもろ、141 雑記:文或と近代もろもろ、140 雑学:近代有力め新聞社10社、181 雑学:近代小説掲載雑誌覚え書、186 雑学:明治の歌舞伎事情、195 雑学:明治の新聞発展事情、177 雑学:文士経営者寄り10人、190 雑学:お江戸の歌舞伎事情。197 文芸:文アル登場作家、その4。211 文芸:文アル登場作家、その3。209 文芸:文アル登場作家、その2。193
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もうあの頃には戻らない ◆B042tUwMgE 「また……なのか」 ザフトエリート兵士の象徴である赤服を着たアスラン・ザラは嘆く。 「また……俺にキラと戦えというのかッ!?」 『殺し合いの』の開催宣言――あの場に確かに同席していたキラ・ヤマト――分かり合えた友人との――再戦の兆しに。 アスラン・ザラ、キラ・ヤマト、ラクス・クライン。 この三名は、同じ世界よりこの殺し合いに召集を受けた仲間関係にある。 しかし、その関係に至るまでには長く、遠い道のりがあった。 アスランはザフトのパイロット、キラは連合のパイロット、そしてラクスはプラントの歌姫と、それぞれが異なる位置に身を置き、 アスランとキラに至っては敵同士という対極の関係であった。 だが、それもかつての話。 お互いの戦友であるニコル、トールの死。連合の卑劣極まりないサイクロプス発動。カガリという二人を繋いでくれた友人の存在。 そして何より、アスランを導いてくれた元婚約者の存在。 数々の試練と葛藤を乗り越え、アスランとキラはやっと剣の向き揃えることが出来たのだ。 今さら戦う理由など、ない。 「それは、ここが殺し合いの舞台でもだ!」 誰が友を殺してまで生き延びようとするものか――アスランは、このゲームに抗うことを決意した。 【アスラン・ザラ(機動戦士ガンダムSEED) 搭乗機体:トライダーG7(無敵ロボトライダーG7) 現在位置:F-1 パイロット状態:良好 機体状態:良好 第一行動方針:キラ、ラクスとの合流 最終行動方針:ゲームからの脱出】 【初日:12 20】 本編37話 始まりの葬送曲
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山の中からコンニチワ ◆OWmug8uCw 午後5時55分。突如A-8の立つ一つの山の一部が突如盛り上がった。 「クックックッ、まさかこんな惨めな思いをして脱出する破目になるとはねぇ」 男の声が発せられ盛り上がった大地から赤い機体が這い出てきた。 孫光龍の乗るレプラカーンである。彼はオーラーバトラーの頑丈さと器用さ、オーラーバリヤーの力、 そして虫という大地の中を移動できる生物の特性、入り口を塞いでいる岩と比べて軟らかいと思われる土砂 から穴を掘り脱出路を作るということを思い至った。 ハイパー化という手段もあるが力を温存することと実際に穴を掘れるかを可能であるかどうか を調べるため即実行をしたのである。 「まあ、古人曰く切り札は最後まで取っておくべきと言うらしいから仕方がないかな」 故に彼はこのような惨めな状況に追い込んだギム=ギンガナムに対して怒りを燃やす。 そうしていると、どこからともなく殺し合いの場に似つかわしくない声が聞こえてきた。 午後6時に流れる放送を聞き孫光龍は喜悦を浮かべる。 「フッ、あの馬鹿はまだ死んでいなかったのかい。これはいい、僕の手で屈辱を晴らすチャンスがありそうだ」 そうしてご褒美と禁止エリアの情報が流れていく。 「あぶない、あぶない。ノロノロしていると首輪がボン!!と爆発するところだったよ」 ご褒美のことは気にはなったものの彼にとっては優勝すればノイ・レジセイアを主とすればいいため 特に興味はない。だが、主催者の力は信じるに足るものだと直感してはいるが かつてαナンバーズが強大な力を持つ敵達を撃ち滅ぼしたように主催者を撃ち滅ぼす者達が現われる かもしれないため安易に優勝を目指したりはせず、変化していく状況における己の取るべき道を 見極めようとする。ノイ・レジセイアを倒すか、それともすべての参加者を皆殺しにするかを。 (まあ、僕とレプラカーンの力があればハイパー化しさえすれば 疲弊した奴らを皆殺しすることなんか訳無いんだけどね) とりあえずは、当初の予定どうりに情報収集と己の力を上回る主を見つけるために市街地を目指すことにした。 【孫光龍 搭乗機体:レプラカーン(聖戦士ダンバイン) パイロット状態:良好 機体状態:全身が土砂で汚れている オーラキャノン一発消費、グレネード二発消費、ハイパー化の兆し在り、顔の牙消滅、左脚部切断 現在位置:A-8 第一行動方針:二時までにA-8から移動する 第二行動方針:ギンガナムに打ち勝つ 第三行動方針:情報収集のためにA-1の市街地を目指す 第四行動方針:己の力を上回る主を見つける 最終行動方針:生き残る】 【初日 18 10】 本編87話 巨虫、岩を打ち抜いて
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投下順に読む Opening~100 101~200 時系列順に読む 第一回放送まで 第二回放送まで 第三回放送まで 第四回放送まで 参加者ごとに読む キャラ別追跡表 時刻 タイトル 登場人物 登場機体 場所 作者 18 00 第三回放送 アルフィミィ デビルガンダム ネビーイーム ◆ZqUTZ8BqI6さん 18 00 貫け、奴よりも速く キョウスケ ゲシュペンストMkⅢ D-7 ◆VvWRRU0SzUさん 18 30 伏せた切り札 全ては己が目的のために ユーゼスアキトガウルン統夜テニア メディウス・ロクスブラックゲッターダイゼンガーヴァイサーガベルゲルミル B-2A-2 ◆ZqUTZ8BqI6さん 19 00 銃爪は俺が引く ユーゼスアキト メディウス・ロクスブラックゲッター B-2 ◆VvWRRU0SzUさん 20 00 life goes on(1)life goes on(2) アムロカミーユキラアイビス甲児ソシエロジャーブンドルバサラシャギアキョウスケ ガンダムF91VF-22S・SボーゲルJアークネリー・ブレンストレーガガナドゥール騎士鳳牙サイバスターラーゼフォンゲシュペンストMkⅢ D-3 ◆XrXin1oFz6さん 20 30 moving go on(1)moving go on(2)moving go on(3)moving go on(4) アムロカミーユアイビス甲児ロジャーシャギアキョウスケ ガンダムF91VF-22S・Sボーゲルネリー・ブレンストレーガガナドゥールフォルテギガス騎士鳳牙サイバスターゲシュペンストMkⅢ D-3 ◆XrXin1oFz6さん 20 30 Alchimie , The Other Me ノイ・レジセイアアルフィミィアルフィミィ デビルガンダムペルゼイン・リヒカイト ネビーイーム ◆XrXin1oFz6さん 20 45 竜が如く ガウルン統夜テニアアルフィミィ ダイゼンガーヴァイサーガベルゲルミル H-3 ◆VvWRRU0SzUさん 2 00 Alter code Fire2nd IgnitionAdvanced 3rdAdvanced 3rd(2)The 4th DetonatorThe 4th Detonator(2)The 5th Vanguard ガウルン統夜テニアユーゼスアキトカミーユアイビスロジャーシャギアソシエバサラキラアルフィミィ ダイゼンガーヴァイサーガベルゲルミルメディウス・ロクスブラックゲッターF91Jアークネリー・ブレン騎士鳳牙サイバスターラーゼフォンアルトアイゼン・リーゼデビルガンダム E-3ネビーイーム ◆VvWRRU0SzUさん 2 30 彼方よりの帰還 カミーユアイビスロジャーアキト統夜ノイ・レジセイアAI1 サイバスターネリー・ブレン騎士凰牙アルトアイゼン・リーゼヴァイサーガペルゼイン・リヒカイトデュミナス ネビーイーム ◆7vhi1CrLM6さん 2 45 楽園からの追放者(1)楽園からの追放者(2) 統夜アキトロジャー ヴァイサーガアルトアイゼン・リーゼ騎士鳳牙 ネビーイーム ◆VvWRRU0SzUさん ??? ネクスト・バトルロワイアル(1)ネクスト・バトルロワイアル(2)ネクスト・バトルロワイアル(3)ネクスト・バトルロワイアル(4)ネクスト・バトルロワイアル(5)ネクスト・バトルロワイアル(6)ネクスト・バトルロワイアル(7)ネクスト・バトルロワイアル(8)ネクスト・バトルロワイアル(9) カミーユアイビスロジャーアキト統夜ノイ・レジセイアAI1 サイバスターネリー・ブレン騎士凰牙アルトアイゼン・リーゼヴァイサーガペルゼイン・リヒカイトデュミナス ネビーイーム ◆XrXin1oFz6さん